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2021.03.01

優秀賞が決定しました

令和2年度の卒業・修了研究展の優秀賞が決定しました。

【プロダクトデザイン学科】
 望月 みちる (池永 研究室)
 福島 彩乃 (池永 研究室)
 高口 莉奈 (鈴木 研究室)
 土屋 里実 (鈴木 研究室)

【視覚デザイン学科】
 伊藤 輝 (吉川 研究室)
 伊藤 里緒 (山本 研究室)
 梯 季夏 (松本 研究室)
 菊地 仁美 (御法川 研究室)
 笹原 翔 (ビューラ 研究室)
 鈴木 晴奈 (山田 研究室)
 西野 葉月 (御法川 研究室)
 濱田 渓奈 (真壁 研究室)
 古沢 菜月 (徳久 研究室)
 細屋 花 (阿部 研究室)
 堀内 誉世 (山田 研究室)

【美術・工芸学科】
 遠藤 由季子 (中村 研究室)
 鈴木 沙也加 (遠藤 研究室)
 小野澤 七星 (遠藤 研究室)
 星野 環 (長谷川 研究室)

【建築・環境デザイン学科】
 三上 京子 (平山 研究室)
 高桑 江理 (山下 研究室)
 白井 那瑚 (平山 研究室)
 伊藤 碧 (山下 研究室)
 小野寺 湧 (小川 研究室)

【大学院修士課程 造形研究科】
 志賀 真衣 (増田 研究室)


 

各学科の優秀賞の紹介

【プロダクトデザイン学科】

 

 

【視覚デザイン学科】

受賞者 作品名 選考理由
伊藤 輝 きせかえ人間 本研究作品は、写真表現を追求する前段階のアートディレクションに時間をかなり費やした。洋服が大好き過ぎて春からアパレル系の会社で働く伊藤は「もしも着せ替え人形を実際に人間でやったらどうなるか」という仮説を立てた。作品タイトルはコンセプトを明確に表現できている。やりたかったことを明快にすることによって作品制作における本質を見極めることができ、私物の洋服で好きなようにモデルを着せ替えて楽しそうに撮影していた。伊藤にはやるべきことがはっきり見えていた。大画面の作品制作の逆算と撮影技術の甘さが出てしまっているものの、コンセプトの明快さと洋服に対する強い想いで、この写真作品の精度を上げていくことができたと言える。
(吉川)
伊藤 里緒 安達紙器工業共同開発クラウドファンディング 伊藤さんの研究は、昨年、安達紙器工業(株)との商品開発インターンシップで行った「紙のイーゼル」が原点だ。クラウドファンディングを行うことになり商品の見直しを行い、新たに商品開発をすることとなった。一般の卒業研究と違い、実際の企業と連携して商品開発からマーケティングまで行うことは、消費者のニーズをしっかりと捉える必要があり、またクラウドファンディングの目標金額を達成する企業側のニーズにも対応する必要もある。非常に実践的かつ有意義な研究だったと思う。これらの経験を生かし、今後の仕事にも役立ててほしい。
(山本)
梯 季夏 ニュー・アイ グラフィックス シンプルでフラットな現代表現のアンチテーゼとして、ポストモダンの手法を用い、
派手で奇天烈な「目」の造形表現を試みた、見ていてワクワクする100枚もの作品!
(松本)
菊地 仁美 思い込みの境界線 菊池の写真はボケている。彼女は「見る」ということに信頼を置いているが、「見ているものが記憶で形作られているとしたら」という疑問を投げかけた。彼女の写真にははっきりした図像は登場しない。鑑賞者は写真を見て、自分の記憶と照らし合わせ、何かの像を結ぶかもしれない。その像は彼女が見たものかもしれないし、違うものかもしれない。像が何であるか答えを求めるためでなく、彼女自身そして鑑賞者が「見る」ということを問い直すための作品である。彼女の写真のボケの加減は、この挑戦に鑑賞者を引き込む力がある。
(御法川)
笹原 翔 灰空 手描きアニメーションの優しいタッチと、3DCGのモデル製作と自由性のあるカメラワークの両方の分野の良いところを利用する研究を行いました。自ら開発した技法で3Dの世界にハッチングの柔らかいデッサンの質感が取り込まれています。完成度の高いオーディオトラックと魅力的なキャラクターデザインとストーリーを活かした、環境問題がテーマのショートアニメーションです。また、この作品は360度映像インスタレーションとして鑑賞できます。
(ビューラ)
鈴木 晴奈 SLOW LIFE 「隙間とは何か」という定義の探究から始まった写真制作から始まり、最終形となったのがこの作品である。フィルムの制作工程において、ゴールまでのプロセスを具体化すべくストーリーテリング、ビジュアルボードなどによる綿密な計画行為が通常基本形態として存在する。しかしながら、彼女の探究はそのようなこれまでの映像制作のベーシックプロセスを一切捨て去り、予め計画されない撮影と編集作業のインプロビゼーションとアイデアの反復によって新鮮なストーリーを創造し作り上げている点が眩しい。直接関係のないコトとモノを編集というマジックによって関係付ける行為はまさしくクレショフの極みであり、視聴者に妄想というスペースを提供し続けるべくおこなってきた制作行為の積層の末、作家自身も予想しなかった新しいストーリーに都度出会っていくという行為は、制作工程と観賞工程を同時体験できた点において最終的に新たな形の映像制作の楽しみを見出し、「隙間の探究」行為に見事接続し昇華したといえるだろう。
(山田)
西野 葉月 ゴキブリを好きになりたい 西野は「嫌いなものを好きになりたい」というポジティブな欲求を持っている。嫌いなものの代表であるゴキブリを好きになれるかという挑戦が今回のテーマだ。ゴキブリについて調査し、嫌われる理由を分析し、仮説を立て、検証し、好きになろうと努力する。その軌跡がテキストとともにグラフィック、イラストレーション、写真、マンガの表現により1冊の本としてユーモラスに記録された。無謀な挑戦がエンタテイメントとして楽しい。またテキストとヴィジュアルがお互いを補完し、ヴィジュアルコミュニケーションを平易にしている関係が秀逸である。
(御法川)
濱田 渓奈 いただきます ごちそうさま 私たちの食生活は穀類、野菜、肉、魚です。その大部分がスーパーで買うことができます。肉も調理しやすいようにパックに適当な大きさに揃えられて入って売っています。まるで工場で生産された食品のように見えます。しかし、食肉は元は動物の肉体です。生命のある動物を殺し、その肉体を分解して食べ物にするという過程が隠されています。本作品はその過程を作者自ら体験し映像としてまとめています。「いただきます ごちそうさま」という言葉の意味、裏側にある現実を描き出した作品になっています。普段意識することが無いその視点、その現実を映像作品としてまとめ優秀賞に選出されました。
(真壁)
古沢 菜月 ARを使った付加価値提供サービス カメラを通してプラスアルファな情報を現実に結びつけるAR技術の活用として、情報を見る行為を“商品を通して”生産者自身や気持ちをのぞき見る行為へと価値を高める提案になった。UIをはじめとしたビジュアルのデザインだけでなく、その裏には人の気持ちを伝えるコミュニケーションのデザインがしっかり設計されている。
古沢さんは1年生、3年生では人をつなぐコミュニケーション企画を提案し、2年生ではUI設計に興味を持ち、3年生ではグラフィック表現も開花し、4年生ではARという表現技術を身につけた。その上でしっかりとした調査や取材や検証に基づいた今回の卒業研究は本当に彼女の4年間の集大成となった。
(徳久)
細谷 花 一人前の世間 本研究は事前準備に時間をかけ、まず実写動画を撮影し、1コマずつプリントし、トレース色の着色撮影、編集、音の編集色合わせなど行い、制作していき、コンテ作業に時間をかけ、アニメーションに仕上げ、音の演出にもこだわり追求し、最後の調整に時間がかかってしまったがなんとか制作ができた。二画面が均等であったり、片方が大きくなったりし、心の揺らぎが描写されて面白く、話しているセリフが、右画面は右から、左画面は左から聞こえてくるところも良い。
(阿部)
堀内 誉世 大腸菌とグラウンディング 写真とは、そこにそれがあり、そこに自分が存在したと証明できる方法のことである。2020年、未知のウイルスの登場により世界が揺れる中、作家自身が高校時代に取り憑かれた「生きものとはなにか」というテーマを大学の最終研究として設定し、時間を経て、物質として存在しない意識と迷いとが、質量とサイズのボリュームという形となって出現した。1ページ1作品づつの瞬間で構成されたモノクロームによって表現されているのは、目撃したモノ・事象と自意識との交差点である。自身を対象とし、写真を表現形態としたドキュメンタリージャーナリズムともいえる作品からは、テーマの本質へ迫るための思考と移動を繰り返す作家の様子が垣間見れ、はっきりとしたメッセージや物語の伝達を意図的に否定し、むしろ写真の集合と編集により作家の意識の旅を追体験するという湿度の高い作品群は、まさに「生きている」というリアリズムに溢れている。
(山田)

 

【美術・工芸学科】

受賞者 作品名 選考理由
遠藤 由季子 「軋む」「撚る」 ガラス素材における「割れる」という特性に着目し、自身の研究テーマである素材と自己との関係性を時間軸を通して研究を行なった。多くの実験に裏打ちされた関係性のコンテクストに則った作品は評価に値すると考える
(中村)
鈴木沙 也加 「黄色いかえると青いかえる」「クローゼット」ほか 「ケアとしての役割を持つ美術表現」としての卒業研究において制作された絵画作品は、制作することと公開することにおける自他への“配慮”として美術表現としての新しい視点を見出そうとしていることが評価できる。
(遠藤)
小野澤 七星 「utopia_space」 絵画とその周辺の場について「人間と人と空間」というテーマで卒業研究に取り組み、インスタレーションの形式で、映像作品、ドローイングなども織り交ぜ、描く行為、プロセスをも含めた絵画空間を構築できたことを評価した。
(遠藤)
星野 環 仕上げ:玉子焼き、大学芋、焼き鮭 本作は「鋳物の仕上げ過程における表現方法の研究」をテーマに、作品(鋳物)が完成するまでの過程に対する作者の興味から着想し、金属工芸の一分野である『鋳金』により制作されたものである。料理をモチーフとすることで、食材の状態から調理されるにつれて、鋳物の仕上げも完成に近づき、最終的に料理の完成の時点で仕上げが完成するという流れを良く表現している。また、観覧者に対し制作に関わる時間や工程などにも目を向けさせることに繋がるものとして、これを評価した。
(長谷川)

 

【建築・環境デザイン学科】

受賞者 指導教員からのコメント
三上 京子  ファミリーヒストリーである。自分の祖先がどこで生まれ、何に悩み、生を全うしたのかを建築を通して跡付けた力作である。
 昨年の2月に神力院を一緒に訪れとたき、この寺院が修験道のもので、彫刻絵様から建築年代は1700年代後半とすることができた。里修験が200年以上に渡り、この地に住み人々と一緒に生活をこの地で営んできたことが、建物の増改築から読み取れた。今まで見たことのない建築であった。
 夏。再度、本人と訪れ小屋裏を含め断面図の作成をした。茅葺であるが扠首の先端が梁に刺さらない、この地域に特有に見られる古い形式だ。垂木構造とも云う。
 著者は1年間に渡って神力院を訪れて周囲の写真を撮影し、地域と寺院の関係を見つめ続けた。祖母、叔父からも丹念に聞き取りを行い神力院の歴史を克明に跡付けるとともに、周辺の修験道寺院への調査も行い、神力院建物の独自性を浮き上がらせた。
 建築史的な側面に留まらず、宗教史、民俗史としての意義も高い。
(平山)
高桑 江理 1年生後期の設計演習は4連勝。以来、建築設計で学年のトップを走り続けてきた高桑江理は、3年前期のグループ設計演習で、驚愕スキーム(蓮潟計画)のリーダーだった。だから、えり、卒研も1位で心底ホッとしたよ。大学時代の私自身がそうであったように、先頭でゴールすべきであり、また、そうでなければならないのだから。彼女のプロフェッショナルさが存分に発揮されている卒研の設計図面は、設計をする者が、口先だけでは済まされないことを、よく物語っている。完璧なのだ。「デザイン」という軽い言葉ではなく、「設計」という重い言葉を背負って、スキームに向かい合ってきた。毎日休まず、少しずつ少しずつ、確実に歩を進めてきた。私が最も評価するのは、この点であり、社会に出れば、なんの不安も持たれることなく、信頼されるタイプである。後輩たちは、よく知るがいい。彼女が完璧なのは、卒研の時だけではなく、1年生の時からであることを。
(山下)
白井 那瑚  自分が生まれ育った地の建物は、自分にとっては特別である。それが未だ誰も見たことのない建築とすれば、一層のことである。
 現在の建物は「春風楼」とする二階建のお籠もり堂である。当初は五重塔を目指したもので、江戸時代末から建築が始まったものの、初層で建築は止まった。しかし、これを床下に組み込み、明治6(1873)年になって「春風楼」が完成したのであった。
 著者は夏休みにこの建物を訪れ、時間をかけて組物の実測を行った。この段階で天満宮に模型を奉納すると無謀にも約束して来たそうだ。10月になって図面が完成し、これを形にしはじめた段階で共々途方にくれた。さて、模型は出来るのだろうかと。全てを木材で作るとすれば凄まじい手間暇が掛かるはずで、これでは期限内には終わらない。図面は完璧であったので、最も大変な組物を3Dプリンターで制作することにすれば何とかなると思いついた。しかし、軸組は木で作った。最後の追い込みはよくやった。形は力を持つ。
(平山)
伊藤 碧 まさかまさか、この大学で、マンハッタンの超高層スキームが登場するとは、思いもよらなかった。しかも、男子ではなく女子により! 超高層という唯我独尊の世界は、マンハッタン・グリッドという良質な培養地で、まるでキノコのようにニョキニョキと育ち始めて以来、建築家(男)の世界だった。私自身、35年前に1本、40年前に1本を「育てた」。そのエキサイトメントを、伊藤の卒研で懐かしく味わった。それにしても、痛快な出来事だ。ジェンダー差別を軽々と超え、その独創的な「垂直農園」を抱えて、女性が前に出ていく世の中になっていく。本当にイーロン・マスクに売り込みに行けばいい。あおい、マジでそうしませんか? アップル本社の平べったいドーナツ建築(森を内包)を超えるので、彼は興味を示してくれるかも。後輩たちは、よく見るがいい、彼女が描いた一連の設計図面を。これは、絵に描いた餅ではない。建設可能であることを示している。
(山下)
小野寺 湧 「海と共に生きる」というタイトルに小野寺の故郷への強いメッセージが込められている。小野寺は小学校6年生の時に大津波を体験している。担任の先生の機転で高台に避難して難を逃れたが自宅は流されたと聞いている。あれほど誇りにしていた海が高さ9mの防潮堤により,その存在が希薄になってしまった。防災と環境復元を両立する方法はなかったのだろうか。エコロジカル・ランドスケープ手法によるインナーハーバーが解決策だった。河川を分流させてインナーハーバーに導き時間をかけて砂浜を作り,周辺に8つの駅を配置した。ひとつひとつの空間を丁寧にデザインした結果,ランドスケープデザインを超えて,雇用機会の創出,緊急時の避難経路の確立など,ハードとソフトの両面から総合的に土地利用計画を立案したことは復興のひとつのモデルケースとして社会的意義が高い。「こどもたちに海を見せてあげたい」という結びの言葉通りの空間に仕上がっている。
(小川)

 

【大学院修士課程 造形研究科】

受賞者 作品名 選考理由
志賀 真衣 アルゴリズミックデザインを用いたデジタルファブリケーション時代の造形表現についての研究 現在世界的にデジタルファブリケーションによる新しい物作りに関する研究/試みが行われている。近い将来、3Dプリンティングが最終製品の製造に使用されると考えられ、その時デザイナーが蓄積してきた金型成型を基準としたデザイン作法や製品づくりのノウハウは意味を喪失する。本研究はそうした時代の到来を見据え、3Dプリンティングでなければ造形が困難な造形の照明器具を作成する事で3Dプリンター時代の製品デザインの造形表現の可能性と製品づくりの方向性を提示し、デザイナーが獲得すべき新しいデザインリテラシーと、製品づくりのノウハウを明らかにする試みであり、時代の要請に答える意欲的な研究である。作品Lotus Sphereはランプシェード部の造形にボロノイ-アルゴリズムを用い、金型成型、及びガラス工芸では造形不可能な複雑形状を持ち、透明レジンで成型されたボロノイ構造に光が導かれ、明滅する様はあたかも生命の気配を感じさせる有機的かつ神秘的な美しさを持った魅力的な作品となった。従来の製法では実現困難な3Dプリンティングならではの造形表現と製品づくりの方向性を示すという研究目的を達成する事ができたと考える。また本研究は増田研究室、(株)アロマビット 、山形大学との共同研究の副案という形でサポート受けて行われ、(株)アロマビットに対しての中間報告で高い評価を得ている事にも鑑み、優秀賞に相応しい研究であると考える。(土田)
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