蚕と懐古


作品情報
size:400mm×2000mm
technique:Dobble weaving and Original
material:floss-silk and linen
日本在来の蚕の中でも、最も長い歴史を持つとされる家蚕の品種です。小石丸の絹糸で織られた布は「天女の羽衣」と呼ばれるほど、糸質が優れています。
繭のサイズが極めて小さく、糸をとる上で効率が悪いとされ種が絶えかけましたが、当時皇太子妃であった美智子皇后が飼育の継続をご決断されたことで、現在でも日本国内で小石丸の飼育が続けられています。
藁で編まれた三角形の蔟の中で、小石丸たちが思い思いの場所で繭を作る光景をデザインにしました。
「小石丸」という名前から、静かに流れる水が連想されたことが、深く落ち着いた青色を用いる決め手となりました。

作品情報
size:400mm×2100mm
technique:Structure weaving and Original
material:Silk pipe cleaner,cotton,and linen
ヤママユ、ヤマコとも呼ばれる野蚕の代表的な品種です。全国に生息しており、繭も糸も自然な薄緑色をしています。完全なる野生の環境下で飼育を行う必要があるため、養蚕を行う品種としては非常に難易度が高いとされています。
取れる糸の質は改良が重ねられた家蚕の糸に劣らず、強くしなやかで、自然な艶と光沢を有することから「繊維のダイヤモンド」と呼ばれています。
繭を作るためにくるまる葉と細かな葉脈を織物組織で表現し、織り進めると同時に手で糸を縫い付けて繭の形を表しました。

作品情報
size:250mm×1900mm
technique:Twill weaving and Original
material:floss-silk and wool
沖縄県周辺の風土に深い関連があるとされるものの、起源についての確かな記録がない蚕種でもあります。黄金色の糸を吐いて繭を作ることに加え、複数の蚕が一緒になって繭を作る「玉繭(たままゆ)」ができやすい蚕種です。大きな玉のようになる
繭もあれば、連なって細長い繭を作ることもあるとされ、国内の蚕の中でも一際ユニークな生態をしています。
また、同じ蚕種の中でも、薄黄色の繭を作る品種も存在します。
二色に染めたロービング真綿糸を経糸に、島桑を表現した緑色のウール糸を緯糸に用いて織り、縮絨を行い暖かく柔らかな手触りのテキスタイルにしました。
蔟となる島桑の中で繭を作る様子がデザインの元となっています。

作品情報
size:400mm×2000mm
technique:Dobble weaving
material:Spun silk,silk wool,and silk
蚕はメスと比較するとオスの吐く糸の方が良質であることから、より質の高い国産の絹を作るため、約36年の年月をかけて開発されたオスのみの新蚕種です。
蚕種開発者の大沼博士をはじめ、養蚕農家やプラチナボーイの製品プロデュースを行う銀座もとじなど、国内の技術者が一体となって完成した、純国産絹の誇りとも呼べる存在です。
本物の繭のように、ほのかに銀色に見える色に加減して糸の染色を行いました。
素材には経糸、緯糸と共に極細のシルク糸を使用することで、緻密ながら手触りの軽い柔らかいテキスタイルに仕上げました。

【標本上段】
右端より
・小石丸
・天蚕
・琉球多蚕繭
・プラチナボーイ
【標本下段】
右端より
・オオミズアオ
・ウスタビガ
・シンジュサン
・奄美島桑繭
・ヨナグニサン
・クスサン
