楽園

私の卒業研究テーマは多層表現を活かした柄制作です。
幻想的な世界を布地に表現することをコンセプトに制作しました。
染色方法はオパール加工と昇華法を組み合わせて使いました。オパール加工とはポリエステルとレーヨンを混色している布に薬剤を塗布し、熱を加えるヒートプレスを行うと、薬剤を塗布した箇所のレーヨンが熔けポリエステルがむき出しになり透ける箇所が出来ることで柄が作成される加工法です。
昇華法とはまず障子紙に染料を含ませ乾かします。その乾いた紙をポリエステルにあて、200度でプレスするとこで布に色を移す染色方法です。50色以上作った試作から実験を繰り返し色を選別し、2回に分けて手で紙を隙間が出来ないように且つ色が繋がるように配置し、ヒートプレスを行うことで深みのある、美しい世界観を表現することが可能になりました。
このような深みのある美しい世界観を表現するテーマとしてコンセプトの幻想的な世界から私の作品作りのモットーである可愛くて美しい柄制作を考慮して明るいイメージの【楽園】に決定しました。私の考える楽園とは苦しみがなく、愛に溢れた楽しさに満ち溢れた美しい場所です。どんな動物も伸び伸びと生きている世界だと私は考えます。うさぎにリス、他の動物ものびのびと生きている世界。のびのび自由だからこそ見た事ない美しい生き物に進化しているはず。私の中での幻想的で楽しそうな美しい世界の楽園を表現した作品にしました。
1作品目が海の中の楽園です。海の中ではタツノオトシゴや、うみうしが大きな角を持った龍のようになっていてきらきら星のように輝く貝殻やヒトデ達の中を優雅に大空のように飛んでいる。そんな想像の膨らむ美しく神聖な柄にしました。柄では海の貝殻やウミウシ、タツノオトシゴが表現されていますが昇華紙を星型に切り抜き、オーロラや銀河を想像させるような色合いにすることで海なのにちょっぴり宇宙も感じさせるような柄を表現しました。こちらは手作業で星型に切り抜き、13色の昇華紙を使っています。
2作品目が陸の中の楽園です。今の世界にいるウサギやリス達、楽園ではもっと美しく自由になってるであろう。うさぎは羽が生えてより美しく自由に、リスも蝶々のように飛び回っていたりして…そんな想像の膨らむわくわくする柄にしました。楽園は明るくて愛が溢れている独特な世界でもあると考えています。そこで奇抜で美しいオウムをイメージした色合いにしました。花畑の中にいるうさぎやリス達ですが、独特な色合いにすることにより普段の森の中とは違う印象にしました。愛に満ち溢れてるということで昇華紙はハート型に手作業で切り抜きこちらも13色の色を使用しています。