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さっき食った炒飯美味かった

小林桃子
学科・領域
美術・工芸学科
コース
美術表現コース
指導教員
小林 花子
卒業年度
2024年度

冬が明け暖かくなると、毎年多くの人々が桜の開花を待ち侘びる。

しかし桜が満開で見頃になったとしても突然の嵐に見舞われれば、あっという間に儚く散ってしまう。


幸福は突如として失われるかもしれない。自然災害はこれまで幾度となく発生し、この先も必ず起こる。そして、それは時として人に思いがけなく絶望をもたらす。

生きている以上、この様なことは決して他人事ではないと感じる。


もしもそんな状況に陥った時、自分を救うのは過去の自分だと信じている。



たとえその喪失感に押しつぶされそうになったとしても、失ってしまったものが元には戻らないということを受け入れ、自分の感情をコントロールする勇気を持てるように。
そして記憶の中に存在する過去の経験や感情が、希望へと導く光になることを私は願っている。










自分以外の人間は、外側しか見えない。だから相手の内面を想像して勝手に一喜一憂することしかできない。
やなせたかしの自伝『ボクと、正義と、アンパンマン』に「ひとはひとをよろこばせることが一番うれしい」という一文がある。

「よろこび」は循環する。相手を喜ばせることは、自分を喜ばせること。それならば、自分は相手にとって他人であることから、相手が私を喜ばせる時、きっと相手も喜んでいるのではないだろうか。

他人が喜んでいたら私も嬉しい。私が喜んでいたらきっとみんなも嬉しいのだと。
楽観的すぎる考えなのかもしれないが、そう思うことで自分以外の人間の内側が少しだけ見える様な気がする。


自分は桜が好き。犬と散歩するのも好き。鳥も。植物も。雲の形も。どんぐりを踏む時の感触と音も好き。川を泳ぐ魚を眺めるのも好き。母の作る味噌汁の温度が好き。祖母の優しい声が好き。幼馴染といる時の安心感が好き…。

そんな日常に中にありふれた些細な幸せを、これからも大切にして過ごしていきたい。