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-生まれて消えてを追いかけて-
上條真愛
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
建築・インテリアコース
指導教員
佐藤 淳哉
卒業年度
2024年度

地球上の気候が大きく揺らぐこの時代に、過ぎていくその瞬間を見逃さない為に。

自然の現象には、私たちの想像を超えるものを生み出す力があります。そして、今この瞬間に現れた現象と同じものが、再び現れることはありません。そんな力強くも儚いことに、自然の美しさは存在しています。

デザインの最終段階に「雪の現象」という自然の偶然性を取り入れました。建築は現象に呼応し、様々な表情を見せます。ある時には降り積もった雪によって動線が限られ、ある時には雪解け水がスロープを流れていく。そしてある時には、吹き込む雪によって通路が塞がれ人が入ることが許されなくなる。自然が生み出したり、消したりと変化させている造形は、今この時限りです。そんな儚い美しさをデザインの一つの力として、この建築は存在しています。この場所は、自然の力強さと儚さを知覚し、恩恵を感じ、自然との向き合い方を考え直させてくれます。

今、存在している当たり前の美しさは、私たちが消してしまうかもしれないということに、気がついてもらえることができたなら。

そして、今もこの建築は新たな表情を見せます。