国際協力における持続的な活動参加に有効なエンパワーメント要因の考究とデザインプロジェクトに関する一考察


Burt de signのパッケージ
幼少期より、私は、親の監視を離れ、見知らぬ場所へ足を運び、森の中を自由に駆け回るような非日常の風景に触れることが好きでした。その自由と発見の感覚は、環境の変化や新たな挑戦を受け入れる私の基盤となりました。
学生時代、国際的な紛争や戦争に関する報道や文学に触れる中で、それが「過去のもの」ではなく、現在進行形の課題であることを痛感しました。特に、中東で活動を続けていた後藤健二氏の存在を知ったことが、私の人生を大きく変えるきっかけとなりました。彼が命を懸けて現地に赴き、現場の真実を伝えようとする姿勢は、深く感銘しました。そして、「デザイン」というスキルを活かして、国際協力の現場で人々の役に立ちたいという思いが芽生えました。
学部時代は「デザインの力が社会にどのように貢献できるか」を模索し、初めてラオス北部のシェンクアン県を訪れた際にその可能性を肌で感じました。そこでは、不発弾の影響を受けながらも逞しく生きる村人たちと触れ合い、彼らの生活の質を向上させるためにデザインが果たせる役割を考えました。帰国後もこの課題に向き合い、再びラオスを訪れることで、現地の人々と共に問題解決を目指しました。
今回の展示では、ラオスでの活動を中心に、地域の特産品を生かした観光商品の開発や、住民の方々との協働プロセスをご紹介しています。この活動の中で私が感じたのは、デザインとは単なる形をつくることではなく、人と人をつなぐ「共創」の手段であるということです。
本展示が、私たちの取り組みや考えに触れるきっかけとなり、来場された皆さまそれぞれの視点で新たな発見や気づきを得ていただける場となれば幸いです。
最後に、今回の展示を支えてくださった全ての方々、そしてラオスでの活動を共にした現地の皆さまに、この場を借りて深く感謝申し上げます。

これまでの活動内で記録してきた写真です。研究の成果発表では載せきれなかった村人の方々の笑顔や集中した表情など、現場の熱量をお届けできれば幸いです。

現在も村で作られているコースターは、アップサイクル商品という「捨てられるはずだったものに新たなアイデアやデザイン性をプラスすることで、もとの状態に戻す」ことをコンセプトに作られています。この商品には、村人が誇りに思っている愛の山(Phu Hak)という山の名前が、ブランド名として名付けられています。

今回の研究対象者4名がインタビューで語った言葉を元に制作したオマージュ作品です。今回のプロジェクトに参加し続けてくれていた4名に敬意を込めて、一つ一つ縫い付けました。 研究資料とフィールドノーツ、活動で作成してきた資料などで、研究の結論に至るまでの変遷や、これまでのプロジェクト中に考えてきたアイデアなどを載せています。見せるに足らない走り書きのメモや文章になっていない単語がほとんどですが、研究過程は、研究に向き合った試行錯誤の軌跡であると捉え、研究資料を展示することにしました。