通過点としての佐賀を再解釈するデザイン研究
通過点としての「佐賀」を再解釈するデザイン研究
みなさんは、「佐賀」と聞いて何を思い浮かべますか?
私の地元である佐賀県は、毎年ブランド総合研究所が発表している地域ブランド調査「都道府県魅力度ランキング」において、2024年度は最下位となり、過去十年を振り返っても例年下位に留まっている現状にある。その要因として、佐賀県の情報発信不足による誤解や偏見、九州以外の地域に魅力が十分に伝わっていない点が挙げられる。加えて、九州最大の都市圏である福岡県と、観光資源の宝庫である長崎県に挟まれた地理的特徴から、両県民にとって佐賀が「移動の際に通過するだけの通過点・通り道」として認識されていることも、マイナスイメージの一因であると考えられる。本研究では、この「通過点」として捉えられがちな佐賀の地理的特徴を弱点ではなく強みとして再解釈し、福岡県と長崎県を結ぶ交通・物流の要所という唯一無二の立地を活かした新たなブランディング戦略を探ることを目的とする。
「通過点」から「中継地点」へ
佐賀県を「通過点」という否定的イメージから捉え直し、「移動の途中で立ち寄る中継地点」として再定義することで、移動体験を通じた新たな地域価値の創出が可能であるという仮説を立てる。中継地点としての文脈に即したデザインを提示することにより、従来の「何もない通過点」という佐賀県のイメージを、魅力的に再解釈できるのではないかと考える。
中継地点としての佐賀を体験する商品、それが「DISCOBUDDY!!」
旅の“さいちゅう”に食べる“もなか”
商品形態には「最中(もなか)」を選択した。最中は、旅の最中に食べるという意味的な重なりに加え、軽量で携帯しやすく、内容物のアレンジがしやすい点において、移動中に消費される行動食として適していると考えた。また、多種多様なフレーバーを展開し、すべての原材料に佐賀県の特産品を使用することで、移動の合間に食べる体験を通して、佐賀県の多様な魅力に触れるきっかけを提供することを意図している。
行動食としての形状・サイズ
本商品は「旅の目的地」としての佐賀ではなく、「福岡県と長崎県間を移動する際に出会う佐賀」をコンセプトとし、移動の際に消費されることを目的としている。そのため、DISCOBUDDY!!ではバッグやポケットに収まりやすいコンパクトなサイズ感を採用した。
パッケージデザインについて
一般的な土産物は、地域名や特産品を前面に押し出したデザインが多く、主に「目的地である旅先で購入すること」を前提としているものが多い。しかし、本研究では、佐賀県を「移動途中に立ち寄る中継地点」として捉え直しているため、短時間で手に取られ、直感的に選ばれるデザインが求められると考えた。そこで、従来の土産物とは異なる、エナジーバーや行動食など、移動中や活動中に摂取される食品のデザインを参考にし、情報量を抑えたスタイリッシュなビジュアルを採用することで、移動中でも違和感なく手に取れる商品として差別化を図った。
ロゴ・ネーミングについて
本商品のネーミングである「DISCOBUDDY!!」は、旅の途中で商品を味わうことを通して、佐賀県の魅力を「発見(DISCOVERY)」してほしいという意図と、移動や旅路に寄り添う「相棒(Buddy)」のような存在でありたいという思いを込めて名付けた。ロゴデザインでは、佐賀県を中心に、福岡県・長崎県の三県を結ぶ位置関係に着目した。三県のシルエットが、佐賀県のイニシャルである「S」を象ったルートとして視覚化され、旅路によって地域同士がつながっている様子を表現している。この「S字のルート」は佐賀県が単なる通過点ではなく、福岡県と長崎県を結ぶ中継地点として機能していることを象徴しており、本研究のテーマである「通過点の再解釈」を視覚的に示す要素となっている。