歩きつづける
文化を体感的に受け取る映像表現の追求
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
山田 博行
卒業年度
2025年度
現代のドキュメンタリー映像は、情報を分かりやすく伝えることに優れている。だが、文化や労働を知識として理解することはできても、その仕事がどれほどの時間・手間がかかっているのかを、「身体的・時間的な実感」として感じ取ることは難しい。
本研究は、映像は文化や労働を「説明」ではなく「体感」として伝えることができるのか、という問いから出発している。
参考とした、《Leviathan》《テマヒマ》では、ナレーションやインタビューを排し、長回しや行為の反復、環境音によって、観客に現場の時間や身体感覚を共有させている。
本作では、新潟にまたがる尾瀬国立公園で働く「歩荷」を対象とした。尾瀬歩荷は、車両の入れない山間部で100kg近い荷物を背負い、毎日同じ道を9km歩き山小屋まで運んでいる。撮影にあたっては、私自身複数回歩荷として勤務し、その労働に参与した後に撮影を行った。
制作において重視したのは編集である。行為の時間を削らない編集、歩くという同じ動作の反復、そしてドローン撮影後行った自然音の録音と編集、自然音を中心とした音の構成。これらを通して、「歩きつづける」という行為を、説明ではなく、続いている時間として感じさせることを試みた。
ここで映し出されるのは、歩荷が運ぶ物資だけではなく、そこに費やされる膨大な時間と手間そのものである。