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Flet’sy(フレッツィー)

ツーショット撮影を後押しする体験設計の研究
柴田 由宇
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
徳久 達彦
卒業年度
2025年度

研究テーマ

ツーショット撮影を後押しする体験設計の研究


私は友人と出かけたりした際に、その日の思い出のしるしとして一緒に写った写真を撮っておきたいという気持ちがあります。自分が大学生になり地元を離れてから、地元の友人や家族と会う頻度がおのずと低くなったこともあって、一緒に過ごせた日の思い出をツーショットや集合写真という形で残すことの大切さをより強く意識するようになりました。
しかし、いざ人と会うと会話に夢中になってしまったりして一緒に写真を撮ることを忘れてしまうことが何度かありました。
撮り忘れを「また今度でいいや」で済ませてはいけないと思い、ツーショットや集合写真の撮り逃しに対して何かアプローチできないだろうかと考えてこのテーマを設定しました。

問題

ツーショット未遂

周りの人々へのインタビューや自分の経験の振り返りから、ツーショットを撮り逃してしまう原因を分析しました。
そこで次の2つの大きな原因が分かりました。

1.「忘れてしまう」

・つい、相手との会話に夢中になってしまう
・写真撮影の習慣がなく、「そういえば、撮っておけばよかったな」と後になって気づく

2.「言い出せない」

・話の腰を折ることを気にしてタイミングを見失う
・恥ずかしさや照れが出てしまう
・場所やきっかけがない

こういった理由によって「ツーショットを撮りたくても撮れない」という問題を、私はただの撮り忘れではなく「ツーショット未遂」と定義し、これに該当する体験をしている人々を「ツーショット未遂者」としてターゲットに設定しました。

そして、ツーショット未遂を防ぐためには彼らにひとりで抱え込ませず、誰かに提案を代行してもらうことが有効なのではないか、という仮説を立てました。

成果物

ツーショット撮影の提案を代行するアプリ「Flet’sy」

そこで制作したのが、ツーショット撮影の提案を代行するリマインドアプリ「Flet’sy(フレッツィー)」です。

【由来】「一緒に写真撮ろうよ!」=「Let’s take a picture!」の一言をやわらかく後押しするものでありたいという思いを込め、「やわらかい」を意味する「Fluffy」と人を誘う際に使う表現である「Let’s」を組み合わせて名付けました。

これは、指定した日時にLINEを通じて第三者から「あなたたち、一緒に写真撮りなよ!」というメッセージを届けるサービスです。

ユーザーは事前に日時や内容、送り主を決めて提案を予約することができます。

アプリ画面の詳しい流れはこちらからご覧いただけます。

コンセプト

「一緒に撮ろうよ!」のためのワンクッション

・ユーザーの代行として相手との間に入り、撮影へ繋ぐものであること
・「撮りたい」という気持ちをやわらかく受け止めるものであるということ

上の2つを「ワンクッション」という言葉に込めました。
デザインでもクッションの要素、やわらかさを落とし込むことを意識して画面設計には次のような要素を取り入れました。

また、アプリ内の言葉遣いにもやわらかさを持たせ、ユーザーに寄り添う表現にしています。

これらの要素は体験の本筋には関係のない、いわばおせっかいな要素ですが、こういったところもフレッツィーがユーザーのワンクッションであるために大切な部分であると考えて設計しました。

体験設計のポイント①

ポジティブなおせっかい

フレッツィーはLINEメッセージを通じて「ポジティブなおせっかい」を提供します。 デフォルトの送り主には「通りすがりのばあちゃん」を設定し、メッセージのテンプレートを用意しました。以下はテンプレートの一部です。

メッセージには写真撮影を促す言葉に世話焼きなおばあちゃんらしい一言(画像の黄色部分)を添えることで、第三者の介入をポジティブに受け入れてもらうことを目指しました。

予約の際には「会いたて」と「帰りぎわ」の2つのタイミングから選んでもらい、その状況に合わせたメッセージのテンプレートを選択できる仕組みになっています。


・会いたて:「思い出を始める」トリガーとして設定。会ってすぐのタイミングで撮影することで、その後も一日の中でツーショット(集合)写真を撮影しやすくなる流れを作ることを狙っています。
・帰りぎわ:「思い出を締めくくる」トリガーとして設定。別れの名残惜しさによってツーショット(集合)写真撮影のモチベーションが1番高まる瞬間であると考えました。

メッセージは100字以内であれば自由に編集可能です。

おばあちゃんのメッセージは音声付きで、おじいちゃんへの変更も可能です。また、ユーザー側でアイコン用の画像をアップロードすれば自分と相手の共通の知り合いに設定することもできます。

検証

LINE公式アカウントの開設

検証では、提案の代行がツーショット・集合写真の撮影の実行に有効であるかを確かめるためにフレッツィーのLINE公式アカウントを開設し、12組のペアやグループに使っていただきました。

また、予想以上のポジティブな反応がありました。相手側で体験していただいた方から、「今度人と会うのでフレッツィーで予約したい」といった声(実際に3日後の予定で使っていただきました)や、「メッセージの内容が自分と相手の関係性に投影されたことで非常に共感し、嬉しく感じた」という声をいただきました。

この検証結果より、フレッツィーは「提案の代行」によってツーショットや集合写真の撮影を後押しできるだけでなく、「ポジティブなおせっかい」によってユーザーと相手がお互い一緒に過ごす時間の価値を再確認する機会を提供できるという効果があるといえるのではないかという結論に至りました。

最後に

この先、ライフステージの変化などによって「また明日」が「また一年後」に変わってしまう時が来るかもしれません。そんな時、大切な思い出づくりを「また今度でいいや」で終わらせないためにフレッツィーが後押しをできたらいいなと思います。
この研究を始めてから、周りの友人や先生から「人と会った時に私の研究が頭をよぎって一緒に写真を撮った」という風に言われることがありました。検証に協力いただいた方々だけでなく、こうした周りの人たちへの影響も含めて、この研究を通して未遂に終わらずに実行できたツーショットや集合写真が確かにあるんだということをとても嬉しく思います。

この研究があなたの頭の片隅に残ることで、あなたのツーショット未遂の防止にもつながれば幸いです。


さらば!ツーショット未遂