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山形ツッコミオーディション

山形県の認知度を上げるプロモーションコンテンツの研究
亀井陽咲
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
徳久 達彦
卒業年度
2025年度

【山形ツッコミオーディション】
https://hisa0u0.github.io/yamagata_tsukkomi_audition/

ツッコミ不在の漫才師・山形県が
最高のツッコミを探すオーディションを開催!

山形県と相性抜群の漫才コンビを目指せ!

【研究背景】
キャラクター性のある都道府県への憧れ

00 私の理想の“地元”



 存在自体がテーマパークのような沖縄県、秘境のイメージから「グンマー帝国」とネットでネタにされる群馬県、
「翔んで埼玉」「ダサいたま」のような自虐ネタで盛り上がれる埼玉県、「皮肉が上手い」というイメージが定着している京都府・・・。
 私はそんな「キャラクター性のある都道府県」に憧れていた。

 大学進学を機に初めて山形県を離れ、県外の人が抱く山形県の印象を知った。
 
「山形県といえば?」という問いに返ってくるのは必ずと言っていいほど「さくらんぼとか・・・?」という言葉。それ以外のキーワードを聞いたことはほぼ無い。
 私が幼い頃から「なんて奇跡的な形なんだ・・・!」と思っていた山形県の形(横顔の形)は、県外の人にはほとんど知られていなかった。
私は山形県といえば横顔だと思っていた。

久々に帰省した地元の駅で目に飛び込んできたのは、「ようこそ ラーメン県そば王国やまがたへ」という文字だった。


「いつから王国になったんだ!?」
「なんで県の中に王国作ってんの!?」


と思わず心の中でツッコんだ。
思い返せば、重機で巨大な芋煮会をしたり、夏はラーメンやシャンプー、マスクをキンキンに冷やしたり、未確認生物を水族館に展示したり……。

「山形県って、実はめちゃくちゃ変だったのかもしれない」

離れてみて初めて、地元の「ツッコミどころ」の多さに気づいた。

実は私は、沖縄出身になってみたかった。

しかし、出身地を変えることはできない。

しかも私は山形県のことが結構好きだ。

「山形はさくらんぼしか印象の無い地味な県で終わっていいのか?」
こんなに面白くて変なところがあるのに、その魅力は県外に全く届いていない。
もっと誰かの印象に残る、愛すべき「面白がられる県」にしたい。

これが、私が山形県のプロモーションを研究テーマとして選んだ背景である。

01 山形県は存在感が薄い


経済的な存在感の薄さ
山形県の県内総生産(2025)は全国47都道府県中32位

山形県は全国経済圏において末尾3分の1に属している。
経済規模が小さいため、大規模な投資やビジネスの話題、国政レベルでの経済議論において、上位の都道府県(東京都、宮城県など)と比較して構造的に注目されにくい立場にある。

● 認知的な存在感の中位固定(話題性のインパクト不足)
都道府県魅力度ランキング(2025)は全国47都道府県中26位
順位は改善傾向にあるが、47都道府県中26位という順位は、ちょうど全国の中央付近であり、「可もなく不可もない」中位圏に留まっていることを意味する。

結果として山形県は「魅力が高いことで話題になる地域」「魅力が低いことで話題になる地域」のどちらにも属することができず、良い意味でも悪い意味でも全国的なメディアや国民の関心から外れやすいという、「中位圏の罠」によって「存在感の薄さ=話題にならない状態」にあると結論付けられる。

● 話題性の脆弱性(特定の要素に依存した一時的な注目)
魅力度ランキングの上昇要因が外部環境や特定の局所的な事象に依存
県全体を貫く持続的な魅力や産業力に基づく話題ではなく、特定の観光スポットの「バズ」や、外部環境(米の需給)に依存しているため、話題の持続性が脆弱。
SNSのトレンドが変わったり、外部環境が落ち着いたりすると、すぐに話題から消えてしまうリスクを抱えている。



02 山形県にはツッコミどころが多い


山形県には独特な文化や行事がある。

これらを「ツッコミどころ」と定義し、山形県の新たな魅力であると考えた。

夏になると始まる「冷やし○○」
山形県は「日本一暑いまち」として知られた歴史があり、その猛暑を乗り切る知恵として独自の「冷やし文化」が根付いている。
全国的に有名な「冷やしラーメン」をはじめ、「冷やしシャンプー」は理容室の夏の風物詩。
そのほかにも「冷たい肉そば」や、かき氷に酢醤油をかける「酢だまり」など、ユニークな“冷やし”で涼をとる文化は、夏の山形ならではの魅力。

未確認生物「ケサランパサラン」
山形県庄内地方では、幸運を呼ぶとされる未確認生物「ケサランパサラン」に強い親しみが根付いている。
特に鶴岡市立加茂水族館では、未確認生物であるにも関わらずクラゲと並んで実物が展示されている。
また、地元JAのキャラクター「けさらんちゃん」として活躍するなど、ミステリアスな存在でありながら、地域に愛されるシンボルとなっている。

空気が御神体 「空気神社」
山形県朝日町の空気神社は、「空気」を御神体とする世界でも珍しい神社。
ブナの森の小高い丘に位置し、社殿の代わりに5m四方のステンレス板の鏡が地上に置かれ、周囲の自然を映すことで空気の存在を表現している。
本殿は地下にあり、毎年「空気まつり」(6月5日の「空気の日」前後)の際に年一度だけ一般公開され、その理念と共に注目を集めている。

大規模イベント
山形県には、何でも大規模に開催する文化がある。

秋の風物詩である「日本一の芋煮会フェスティバル」では、直径6mの巨大鍋で芋煮を作り、数万人に振る舞う。
また、甲冑をまとった棋士が盤面で戦う「天童桜まつり人間将棋」も全国的な知名度を誇る。
これらの大規模なイベントは、山形県民が「自分たちの文化を誇りに思い、外に発信する」という熱意の象徴と言える。

桃色ウサヒ
山形県朝日町の非公式PRキャラクター「桃色ウサヒ」は、「無個性・無軌道・無表情」の三拍子が揃ったウサギの着ぐるみ。
ごく一般的な市販品(3万円程度)のウサギがベースで、瞳は常に虚ろ。
スノーボードから田植えまで体を張って活動しつつ、「性を超越した存在」で「好きなものは儲け話」という異色の設定が特徴。
その「圧倒的無個性」と「中の人」の存在を隠さない運営スタイルで、地元愛とズレたユーモアを全国に発信している。

03 山形県のプロモーションが真面目すぎる


県外向けプロモーション:真面目な「正統派」な訴求
山形県が県外の観光客や広域的なメディアに対して発信する情報は、一貫して普遍的で真面目、そして情緒的なトーンが中心。
これは、観光地としての信頼性と安心感を優先する戦略に基づいている。
● 正統派プロモーションがもたらす構造的な課題
「話題化」のポテンシャルの欠如
プロモーションが正統派なテーマに限定されるため、SNSやニュースで自発的に拡散されるような「ツッコミどころ」や「ネタ」が生まれる余地が無い。
真面目なプロモーションは、他の地域の類似した情報に紛れてしまい、国民の関心を集めるための「インパクト」を失っている

「中位圏の罠」からの脱出困難
この状況を打破するためには、強い個性を出すべきだが、正統派戦略がそれを阻害し、中位圏への固定化を招いている。

情報発信における競合優位性の喪失
山形県が訴求する素材(自然、温泉、歴史など)は普遍的であるため、情報発信において、より大規模な経済力や広域的なハブ機能を持つ地域(例:東北地方の宮城県 )と競合した場合、「真面目さ」だけでは優位性を確立できず、議論の焦点や投資対象から外されやすい状態が継続している。




山形県の現状

変なことを当たり前のようにやっているだけ

せっかく面白いところがあるのに知られていない。
自虐PRまではいかなくても、ネタにされる、
笑ってもらうなどして山形県を知ってもらえるプロモーションが必要。


研究のゴール

山形県の存在感・認知度UP

山形県の存在に気づいてもらうためのプロモーション。

山形県に“興味を持ってもらう”ための第一歩。
(観光客、移住者の増加などは目的としない)





【事例調査】
話題になったプロモーションを調査

事例調査については以下の資料をご覧ください。
事例調査


【考察】
バズるプロモーションに共通する要素

01 地域の「尖った」資産の戦略的活用と非模倣性の追求


成功したプロモーションは、他地域が真似できない、その地域独自の、一見ネガティブまたはニッチな要素を、恐れずに核として利用している。

ローカルな障壁を優位性へ
宮崎県小林市は、外部には理解しがたい「難解な方言(西諸弁)」という文化的障壁を、
あえて「フランス語に聞こえる」という高度な非模倣的アイデア(コアアイデア)へと昇華させた。

コンプレックスをユーモアへ
埼玉県は、東京に隣接することで長年抱えてきた「周辺地域」としてのコンプレックスを、
徹底的な「自虐と風刺」というエンターテイメントとして肯定した。

これにより、地方自治体としては異例の「ポジティブ・レジリエンス」というブランドを確立した。

破壊的整合性の創出
別府市は、伝統的な「温泉」という資産を、現代的な「遊園地」と融合させるという、
一見矛盾したアイデアで視覚的な衝撃を生み、国際的な訴求力を確保した。

02 視聴者の行動を強制するフックの設計


コンテンツは単なる情報提供ではなく、視聴者の心理に強く働きかけ、共有行動を「強制する仕掛け」を
備えている必要がある。

裏切りによる「二度見」の誘発
『ンダモシタン小林』は、最後のオチで「だまされた!」という感情的な衝撃を与え、視聴者に
「この体験を共有したい」という強い動機付けを提供し、「2回、3回と見てしまう」という再視聴行動を誘発した。

公約連動型による能動的な参加
別府市の『湯〜園地計画』は、動画再生回数100万回達成というデジタル目標を、現実のイベント実行という行政の公約と直結させた。
これにより、視聴者は受動的な消費から、公約達成を担う能動的な参加者へと変貌し、拡散を加速させた。

共通の笑いによる共感の創出
『翔んで埼玉』は、地域間の格差や軋轢を徹底的に笑い飛ばすことで、「身内ネタ」という共有体験を生み出し、観客の愛郷心を否定するどころか強化する、安全な感情的プラットフォームとして機能した。

03 公的機関によるコミットメントと実行力


デジタル上の話題を長期的な地域ブランドと経済効果に繋げるには、公的機関の「信頼性」と、
「リスクを受容し、迅速に実行する姿勢」が決定的に重要。

リスクテイクの表明
埼玉県の大野知事は、ディスリに対しユーモラスに参入することで、行政がそのリスク(批判)を認知し、「ユーモアを肯定する姿勢」を公的に示し、信頼性を高めた。

デジタルから現実への迅速な変換
別府市は、100万再生達成後、話題が冷めないうちに直ちに特別チームを結成し、CF開始、イベント実行というプロセスを約9ヶ月で完了させた。
この迅速な意思決定と実行体制が、プロモーションの信頼性と持続的な話題性を保証した。

エンゲージメントの金銭的資産化
別府市はCFを通じて約8,200万円を集め、埼玉県は地元特産品を景品としたSNSキャンペーンを実施した。
これにより、デジタル上の熱狂を資金調達具体的な消費行動、ひいては地域経済への波及効果(広告費換算100億円以上)へと確実に変換することに成功した。

 




地方創生におけるPRは単なる「広告」ではなく

コミュニティを巻き込む高度なコミュニケーション戦略と
それを支える行政の強固なコミットメント

今回のコンテンツ制作に活用する要素

地域ならではの魅力を伝える
視聴者が参加できる
シェアしたくなる





【考察】
山形県の相方を探す相性診断サイト



結局、私は山形県をどうしたいのか?



「ツッコミどころにツッコまれたい」

 

「ツッコミ不在」こそが、山形県の魅力が「内輪ネタ」に留まり
全国的な話題(バズ)へと昇華しない最大の原因なのでは?

 

なら、
ツッコんでもらえばいいのでは?


 


https://hisa0u0.github.io/yamagata_tsukkomi_audition/
山形県と漫才をしてコンビ相性を測る相性診断サイト。

山形県のボケに対する「ツッコミ」を選択し山形県との相性を測ることができる。






地域の「尖った資産」を活用
「ツッコミどころ」「県の形(人の顔)」という尖った資産を山形県の新たな魅力としてアピール。

視聴者の感情と行動を強制する
「他都道府県」をツッコミ役にすることで、県外の人に「自分ゴト」として捉えてもらう。
「診断ゲーム」により、SNSでの「シェア欲」を刺激。

強い個性を出し、他地域との差別化を図る
「山形県にツッコミを入れる」という体験設計で、従来の「真面目すぎるPR観」を打破。




 

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