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Air-ction

電話コミュニケーションに対する不安を緩和するアプリの研究
内山葉月
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
徳久 達彦
卒業年度
2025年度

ついやっちゃう動作を可視化した、通話アプリ


流れるアニメーションを見ながら通話することで、
「このキャラクターたち緊張してる…」

「電話相手も緊張することあるかも…」

「人間皆緊張するよね!」

「じゃあ自分も完璧にできなくてもいいか!」

そんなマインドになれる体験だ。

 

電話が苦手だ


研究のきっかけは、私自身が電話が苦手であるということだった。

今電話しても大丈夫か、うまく話せるか、この電話で何かが決定してしまうことが怖い。

そんな不安から、日常生活の延長線として電話を使えていなかった。

 

電話が苦手な人の方が多い


 


世代間で電話に対する意識に差があることがわかった。
20〜30代では7割以上が電話に苦手意識を感じているという調査もある。
また、大学生20人へのインタビューも行い、
得た意見から、失敗そのものよりも「相手にどう思われるか」への不安が大きいのではないかと考えた。

 


失敗してもいいや!



本作品は、相手側を変えるものではなく、

電話を苦手とする人が、自分自身の不安を乗り越えるためのツールとして設計したいと考えた。

不安を乗り越えるために、「失敗してもいいや!」ってぐらい開き直ってリラックスできたらいい。
「自分の周りの人も完璧ではない」と感じられる状況では、人は少し安心できる。
その感覚を、通話体験の中で生み出せないだろうか。


一緒に緊張、一緒にお辞儀


 

新しい電話アプリ「Air-ction」を制作した。

電話中にしてしまうお辞儀や身振りなどの行動は、相手には見えない。
しかしそれらは、空気をつくり、間を生み、自分自身を落ち着かせる役割を持っているかもしれない。

相手には届かないが、自分を支える「空振りの行動」を

air(空気)+action(行動)=Air-ction

と名付け、見えない動作によって電話体験をやさしく変えることを目指した。




着信中に深呼吸、相手が応じると5秒のカウントダウンで間を置いて、通話が始まる。

通話中には、アニメーションに加えてタップにも反応するので、
落ち着かない人はキャラクターを操ってみよう。

事前に準備できる台本機能なども備わっている。

最後に、お疲れ様の一言で通話を終えることができる。

アニメーションたちは、このように少し忙しなく動き続ける。
自分以外も緊張するんだという共感と、緊張を客観視して落ち着くことができる。


点と線で「つながり」をつくる


ドットは人と人、線はそれをつなぐ電話。同時に「……」という沈黙にも見える。
会話を滑らかにつなげられたらいいのに、そう感じてきた電話が苦手な自分の感覚から、

点と線をなぞるような、手書き感のあるUIを採用した。

完璧ではないからこそ生まれる安心感を視覚表現として落とし込んでいる。

不安の緩和は、自信になる


16人の大学生にプロトタイプを体験してもらい、デザインや機能のブラッシュアップを行った。

「ほっこりしながら話せた」

「相手の声が少し優しく感じた」

といった意見が得られた。


また、表情が明るくなり、声のトーンも上がる様子が見られた。
不安の緩和が、コミュニケーション全体にも影響を与える可能性が示唆された。


「他者も同じ状態にある」と想像できるアニメーションは有効であると考えられる。

展示風景


デザインコンセプト「点と線でつながりを作る」のもと、

リサーチからアイデア、制作、検証までのプロセスが一本の線としてつながっていく展示を構成し、
来場者が自然と視線を移動できる展示空間を目指した。

 

 

 

 

この提案が、誰かのコミュニケーションを後押しするきっかけになれば嬉しい。