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ムセイオン×ムネモシュネ

大船渡市林野火災の地に書き込む、分つことのできない「人と地」の記憶
久保田理惟
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
建築・インテリアコース
指導教員
山下 秀之
卒業年度
2025年度

岩手県 大船渡市

大規模な林野火災の災害地

 

「この場所を離れたいと思いませんか?」

 

「何があっても、この場所から離れることは考えられないなぁ。」

ある人が、そう答えました。

 

 

ムセイオン×ムネモシュネ

それは

「記憶を書き込む場所」

 

ムセイオン:書き込むための場所

ムネモシュネ:書き込むのは記憶

 

 

人は忘れる。

生きるために。

 

忘却は進み、

災害は「過去」となり、

人々の断絶が目立つようになり、

この場所は「ただの場所」になっていきます。

 

「忘却」は、

この地が生きてきた証を、

白紙にします。

 

 

私が思い描いたのは、

慰めの場ではない。

教育の場ではない。

説明の場でもない。

 

私が思い描いたのは、

「記憶を書き込む場」です。

 

記憶は、

個人を超える。

生と死を含む。

破壊や忘却すら内包する。

それでも連続し続ける。

 

 

ムセイオン

記憶を修復する場所ではなく、

すでに連続している世界の記憶を、 人々が持ち続ける場所。

 

 

この場所は、まちと海を一望して、

この地を愛する人々を、人々が愛するこの地を、この海を、記憶する。

 

 

焼け残った杉の木には、この地の記憶が託され、

訪れる人々に、伝えています。

 

 

あの人は、この地に眠ります。

死がこの地で、この地の記憶となりますよう。

 

それは、津波や林野火災によって命を落とした人々の死だけではない。

それでもなお、 この土地にとどまり続けたいと願う人々が迎える死の行き先。

 

 

夕日を受ける納骨堂

 

 

お堂は

焼けた杉の柱、

焼けた杉の梁、

焼けた杉を引いた母屋と垂木

 

生と死は、

断絶ではなく、連続。

 

構造モデル(下から、盛土・切土+柱、梁、母屋、垂木)

 

木が、この地に積み重なるように。

木が、この地に確かに存在したように。

「記憶」を預かり、留まり、やがて人々の還る場所となる。

 

 

私は、木の声を聞きたい。

私は、海の声を聞きたい。

私は、地の声を聞きたい。

私は、鳥の声を聞きたい。

 

私は、死の声も聞きたい。