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「扇子がたり」

〜廃材から生まれる、心をつなぐものがたり〜
大塚悠菜
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
環境計画・保存コース
指導教員
福本 塁
卒業年度
2025年度
◾️「扇子がたり」とは? 三重県名張市で実施した、空き家改修で生じた廃材を使って、まちの人々とオリジナルの扇子を制作し、語り合うワークショップイベント。
参加者の方は大切な人やもの、風景、思い出を扇面に自由に描き、完成した扇子についてお互い語り、最後は「良いセンスですね!」と締めくくるほっこりした場づくりです。


◾️名張のインターンとの出会い
現代の社会問題に、地方都市の少子高齢化があります。人口が減り、身近な生活の中でできなくなることが増えて来るというものです。人付き合いの減少傾向を食い止め、少ない人数でも生活を回していけるような関係性をつくることが求められています。
私はこのような社会問題に取り組むインターンに参加する機会がありました。
舞台は三重県名張市。この、古き良き町並みが残る場所に、約2週間滞在することになりました。
主な作業内容は空き家の改修と、人とのつながりをつくるまちの回路の提案です。


◾️「扇子がたり」が生まれたきっかけ


◾️ワークショップで生まれたものがたり
⒈「普段話さないことが話せるように」
例)
・扇子の紙選びでつながった方は、昨年亡くなってしまった22歳生きた猫ちゃんの絵を描かれました。
「言葉で話してももやもやしていたけど、絵にして、扇子にすることで、形になって別れの寂しさに一つけじめをつけることができた。」とおっしゃっていただけました。
後日お会いした際に「おうちで飾っているのよ。」と教えて下さり、お写真をいただけました。

・私が作業場所に困り道端で木材を削っているところ、通りすがりに心配し声をかけていただいたことがきっかけで知り合った方は、ご自宅で紙芝居を作っているということで、興味を持つと、お家で披露してくださり仲良くなりました。
扇子には、かわいい孫のために作った最初の思い出の紙芝居を再現していただきました。

・ご夫婦でご参加の方です。絵を描いたのは奥さんで、旦那さんはそばで見学のご参加でした。奥さんの元看護時代のストレスなどから絵画やガーデニングにハマったそうです。様々な草花を紹介していただきながらお気に入りの紫陽花を描かれました。旦那さんは釣りが趣味であるという話題になりよく釣る魚と、お互いの感謝の言葉なども合わせて描いていただきました。

このように、このアートを通じたワークショップ体験が自然と自己開示しやすい場づくりになることがわかりました。

⒉「住民同士のつながりが創出」
例)
・挨拶程度の仲だった参加者同士が、ワークショップでお互いを知る機会になり、親交が深まる結果となりました。
・ワークショップ参加者の一名が最近狩猟免許を取得したというお話から地域の害獣についての話題が発生し、盛り上がりました。すると、後日にお互い面識のなかった参加者同士が家に出る害獣捕獲の協力関係となり、のちに5回も捕獲のやり取りがあったことが報告されました。
・面識のなかった方同士が共通の絵画の趣味があること、また絵画教室の先生が共通の知り合いだったことが判明し、ワークショップ内で近日の個展の日程などの情報の共有する場面が見られました。

ここでは、私と住民の方ではなく、住民同士にも新たなつながりが生まれるという発見がありました。


「扇子がたり」は私と住民同士をつなげる活動になりました。


「扇子がたり」ワークショップがもたらした効果は、新しい土地で孤立を感じやすい若い世代が、地域に入っていく過程で、新しい刺激を与え、普段限られたコミュニティが変化、住民同士をつなげるというものでした。
この成果から、廃材を用いた語りの場で人と人をつなぐパタンランゲージを全部で22種類に分析しました。

◾️成果物:廃材を用いた語りの場で人と人をつなぐパタン22種

◾️最後に
名張でお世話になった方々、活動の場を提供し支えていただいた教授、ご支援いただいた大学、さまざまな地域で応援してくださった方々のもと、人見知りで口下手な私が地域に関わっていくようになり、その楽しさを改めて実感できるような体験ができたことに感謝します。
この研究が、私と同じように引っ込み思案ながらも、新しい地域にワクワクしている方に届くといいなと思います。
心があたたかくなるつながりになりますように。
最後までご覧いただきありがとうございました。