のんきに暮らす-静岡県焼津市にて-
2年前、縁もゆかりもない静岡県焼津市に移住した。
1年だけの移住のつもりが、楽しくて離れがたくて、2年が経った。
おだやかな天気と、美味しいご飯と、海と青空、個性豊かな、自分の人生を生きる仲間たち。
世の中では様々な切り口で「地域の魅力」が語られています。しかし、あまり多く語られないのが、「日々の当たり前の暮らし」から見える魅力。移住者の私と、そこに暮らす人たちの眼差しから「のんきに暮らすまち」を一冊に紡ぎました。
【研究のきっかけ】
焼津はすごく暮らしやすい、派手なものは無いけれど、なんだかんだいい場所…
焼津の移住者や地元の人と話す中で、何度もそういった言葉を聞きました。私自身も、同じことを感じています。
言葉にならない「地域の居心地の良さ」を、暮らす人それぞれの目線から紐解く。
そしてそれを多くの人と共有できる形に起こすことで、まだ見ぬ地域の魅力を伝えていきたい。そのような想いから本研究がスタートしました。
【研究の目的】
▶︎制作物として
既出の観光情報とはまた違う「等身大の暮らし」を元にした、ありのままの生活の魅力を地域内外に伝えるツールをつくること
▶︎地域へのはたらきかけとして
住民を制作過程に巻き込み、「自らが地域の良さを伝える」というプロセスを通じ、土地への愛着醸成に繋げること
【焼津について】

【制作物】
ドキュメンタリーブック
「のんきに暮らすことを憶えるー静岡県焼津市にてー」
B6判・121ページ


ー目次ー
⚪︎焼津ってこんなところ・焼津駅前マップ
⚪︎休学をして、無縁の焼津に移住する
⚪︎はやま家がつくる、自由でしなやかな暮らし方
⚪︎船乗りになりたいみき、海のすぐそばで生き続けること
⚪︎大家さんと、さんかくと、おすそわけコーヒー
⚪︎週末、しょーこと寄席に行く
⚪︎港のまち
⚪︎眠れない夜はビール、ビール
⚪︎ゆうたが走り回る、焼津の景色
⚪︎かずさはさ、進路とかどうやって決めた?
⚪︎風にのってどこまでも。みうらさんの、人生の面白がり方
⚪︎ペーパードライバーの休日
⚪︎いくと一緒に、焼津千六百年の年月に想いを馳せてみる
⚪︎愛媛と焼津を行き来して、ももちが見つけた人生のものさし
⚪︎のんきな日々を憶える
▶︎掲載項目① ドキュメンタリーな対話
小学生から50代まで、焼津に定住する人と普段は県外にいる人。
様々な9人との対話を記録しました。
トークテーマは、普段遊んでいる場所、焼津に行き着くまでの人生、焼津のお祭り、仕事と暮らしなどなど…1問1答のインタビューではなく、その場で生まれる質問や対話をそのまま文字に起こしてまとめ、実際に暮らす人たちのリアルな想いを定着させました。
また、登場人物にとって「改めて自分の暮らす地域についてじっくり考える」という機会となり、個々の地域への向き合い方へ寄与できると考えられます。

▶︎掲載項目② こどもカメラマンによる写真
大人の眼差しだけで地域を切り取ってはもったいない。
自転車でまちを飛び回る小学生にインスタントカメラを託し、焼津の風景を自由に撮影してきてもらいました。
地域で生きるこどもの眼差しは大人にとっても新鮮な気づきを与えてくれますし、焼津への移住を検討するお子さま連れにとっても興味深いポイントになるのではないでしょうか。

▶︎掲載項目③ 言葉にならない「良さ」を言葉にする
対話を経て研究のきっかけに立ち戻ります。
言葉にならない「居心地の良さ」を表す言葉として「のんき」という言葉を選びました。
怠惰という意味ではありません。周りの流れに無理に合わせるわけでなく、自分で選んだ自分のペースで生き抜くこと。自分はどんな人間でありたいか、を模索し続ける焼津の人たちに、穏やかな港町の気候を重ねて「のんき」という言葉を贈ります。

【展示】
本の中から抜粋した写真、ページ、言葉を展示しました。焼津のお土産と公式パンフレット、商店街のおしゃべりの場に欠かせないベンチも一緒に。


【あとがきより引用】
焼津のまちが好きで、何か自分なりにその良さを伝えたいと思った。
観光情報は、パッと検索すれば何でも出てくる。数字でわかる物事は、焼津に来なくともわかる。あと、形にされていないものは何だろうかと考えて行き着いたのが日々のどうということもない暮らし様だった。私の目を通して見える暮らしの様子を記録し、一つの小さな形に残すこと。個性的で、楽しくて、自分なりに生きるみんなの姿がとても魅力的だと思った自分が、一番やりたいことだった。
これからの私は、焼津以外の場所にも暮らすだろう。いろんな場所に暮らしてみたい、けれど焼津は間違いなく自分にとって「帰ってくる」場所の一つだ。
地元でもない。ものすごく長く暮らしてきたわけでもない。それでも、会いたい人たちがたくさんいて、大好きなお店と店主たちがいて、成長が嬉しいこどもたちがいる。ここで暮らした記憶と、みんなとつくり上げたこの一冊と一緒に、港町から旅に出る。
そして、いつでも帰港できる。焼津はそんな場所なのだ。
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