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cheerwith

上下関係における“冗談関係のズレ”への 気づきを促すコミュニケーションデザインの研究
鈴木美羽
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
徳久 達彦
卒業年度
2025年度

日本語には、一言一句,全て言葉で伝えなくとも相手の想像力でその意味を補う「余白」があることが特徴の一つと言われています。


その結果、上司部下、先生生徒、親子など、上下関係がある相手同士においては、特にすれ違いが起きやすい現状があります。

「若い世代はひ弱だ」

「上の人にはどうせ言っても、わかってもらえない」

そうして、そのズレは、気づかれないまま、諦められてきました。


ー研究テーマー
上下関係における“冗談関係のズレ”への
気づきを促すコミュニケーションデザインの研究

ー研究動機ー
原体験をきっかけに、ルッキズムやダイエットの低年齢化に関心をもったこと

ー調査ー
問い:容姿に対する否定的なイメージが、“いつ”/“どのように”形成される?

<10名へのインタビュー>
ー結果ー
幼少期の親からの発言が原因として多くみられた

<メンタルモデル図を作成>
メンタルモデル図とは、人が出来事をどう受け取り、どう考え、どんな気持ちになり、どんな行動に繋がっているかという、“思考”と”感情”のつながりを図にしたもの

ー結果ー
子供の成長と共に受け取る言葉の意味が変化する
子供が成長するにつれて、社会との繋がりが増えたり、親子での関わりが減ることなど、さまざまな要因から、親からかけられる言葉に対する、子供の受け取る意味が変化することがわかった。一方で、親にとっては、言葉に含む意味合いは変化しない。

ー成果物ー
上下関係のある相手同士が、立場を超えてフラットに向き合う関係を生み出すコミュニケーションツール“cheerwith”
cheerwithは、上下の関係性がある二人の立場を取り払い、二人が一人の人として向き合うための、コミュニケーションツールです。嫌だったことと、感謝していること。二つのエピソードから、自分と相手の感じ方の違いを、一杯のカクテルとして表します。


このワークは,「かく」「交換する」「きく」「きる」の4つのステップを通して、二人の1杯が完成します。


[STEP1.書く]
“嫌だったこと”“感謝していること”の2つの観点から、感情レベルを5つに分け、5をマックスとした時、5の感情のエピソードを記入します。


[STEP2.交換する]
かけたら、エピソードシートを交換し合い相手の苦味に耳を傾けます。

[STEP3.聞く]
読めたら、相手のエピソードに対し、質問カードを用いて相手の大切な価値観を探ります。

[STE4.切る]
自分だったらこの経験をどの程度嫌だと感じるか、自分事として考え、その度合いに応じてカードの下部を切り取ります。

[完成]
シートを交換して重ねると、2人の価値観の差が表れ、相手と自分の1杯のカクテルが完成です!
寒色が多いと、ネガティブな感情に差があり、暖色が多いと、ポジティブな感情に、ホワイトカクテルは2人の感覚が近いことを表します。


[デザインコンセプト]
Bar
コンセプトはBarです。ただし、ここでいうBarはお酒を飲む場所のことではありません。
静かで、横に並び、立場を解いて、対話が生まれ、自然と相手を受容する。
そんな関係性が自然に立ち上がる場として、Barという形式を選びました。

[ツールのこだわり]
<冊子>
このツールは、WSのようなファシリテーターを必要としなくとも、冊子を通して参加者のみで対話を進められるよう設計しています。

<質問カード>
本学の臨床心理士の三浦先生からも意見をいただきながら、体験者が大切にしている価値観を導ける質問になっています。


ー最後にー
cheerwithは,単に「相手との違い」を理解するものではありません。

言葉では説明しきれず、感覚的にしか察することが難しい「嫌だった度合い」や「嬉しかった度合い」、そしてそれらの差を、まるでカクテルの味わいのように直感的に捉えるきっかけを与えてくれます。

私は当初、上下関係のある相手同士では感覚に大きく差があり、その差を知る体験が必要だと考ていました。
しかし、計10組の検証を通して、大きな気づきを得られました。

それは、上下関係や年齢差がある二人であっても、「共通点」が見つかることで、相手を“理解する”だけにとどまらず、二人の距離感そのものが縮まるということです。

cheerwithは、差や違いをあきらめないことで、立場を越えて、もう一度フラットに向き合う時間を生み出すツールと言えます。