MENU

ヌイノワールド

ぬいぐるみと絆を育むツールの研究
松﨑蒼生
トップページとタイトルロゴ
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
徳久 達彦
卒業年度
2025年度

研究テーマ  ぬいぐるみと絆を育むツールの研究

 

研究背景

2024年11月、大事なぬいぐるみが怪我をして病院に入院することになりました。
ぬいぐるみの病院とは、怪我をしたり年季が入ってクタクタになったぬいぐるみをできるだけ元気な姿に戻すサービスです。
入院をしてみると利用者として以下の3つの問題に直面しました。

抵抗その1 入院費が高額

大切な患者さんを預かって一つ一つ手作業で丁寧に治療を行います。
お風呂と綿の詰め替えが必須になっている病院も多く、軽い治療でも医療費がかなり高額になりやすいというデメリットがあります。
怪我をしたぬいぐるみは皮膚移植をおこなったため合計42,785円、怪我はしていないが毛並み治療のために入院したぬいぐるみは合計22,929円でした。
抵抗はあるけど大事なぬいぐるみのためなら…という人しか利用できないのが現状の問題としてあるように感じています。

 

 

 

抵抗その2 病院の比較が難しい

ぬいぐるみの治療ができる病院は全国に5カ所あります。数は少ないものの病院ごとにかなり特徴が異なります。
できる治療やサービス内容が異なるため、病院ごとの公式サイトを見比べる以外の比較が難しいです。
どの病院でもチャットを使って無料で見積もりや相談はできるもののかなり敷居が高いと感じる人は多いでしょう。
大事なぬいぐるみを預けるからこそ合っている病院に安心して預けたいのに探すだけで疲れてしまいます。

 

抵抗その3 健康な写真がない

病院の医師もプロとは言えども個性豊かなぬいぐるみの全てを把握しているわけではありません。
元の健康な姿に戻すために「健康な写真を送ってください」と言われても結構無かったりします。
そもそも写真を撮らないとか、写真の中ではもうクタクタだったりとか。
結局「ありません」と回答することになりました。

 

以上の3つの問題によって、ぬいぐるみの病院に入院する敷居が上がっているのではないかと考えています。

 

 


でも利用してよかった点ももちろんありました。

 

嬉しさその1 元気で帰ってくる

当たり前だけど、その当たり前で泣いてしまうほど嬉しかったです。
自分では健康に戻せないからこそ、この経験と治療したぬいぐるみはより一層私の宝物となりました。

 

 

嬉しさその2 頑張っている姿・レアな姿が見られる

病院からチャットを通して治療を頑張っている姿が定期的に送られてきます。
中には人によってはショッキングだが綿がない状態でお風呂に浸かっている写真もあったり。
綿の交換をした場合は交換前の綿の一部が、皮膚移植した場合は移植前の怪我している状態の皮膚と一緒に帰ってきました。

 

 

嬉しさその3 世界観がかわいい

ぬいぐるみが好きな層がターゲットになっているサービスのため世界観がしっかり作られています。
利用者を「保護者」と呼んだり帰ってくる時に処方箋(ラムネ)も一緒に入っていて細かい気配りがされていました。

 

嬉しさその4 サイトで有名ぬいに

治療後に感想や元気で過ごす写真を病院に送ると公式ホームページに利用者の声ということで掲載してもらえます。
ただでさえかわいいのに、さらに元気になった我が子を自慢しちゃいましょう。
利用者の声を眺めて他のお家の子を眺めて元気をもらうこともできます。

 

 

以上のことを踏まえて
・ぬい活のサポート
・「ぬいぐるみの病院」を利用する入り口
という2点を抑えたツールがあったらいいのではないか、と思うようになりました。

 

拡大するぬい活と変化

ぬいぐるみと共に行動する「ぬい活」は現在もっともホットで需要のある分野だと私は考えております。
根拠は以下の3つです。

1.「ぬい活」が流行語大賞2025にノミネート
2.ぬいぐるみの市場規模は年々増加傾向であり2024年では450億円であった
3.ぬい活人口は人口換算で390万人と言われている

 

 

また、ぬいぐるみのあり方にも変化があるように感じています。
ぬいぐるみとは?という問いに対し、「自分の分身」「お守り」「友達・相棒」などという意見がありました。
ぬいぐるみに役割を持たせ、命があるように振る舞うことが現代のぬい活の主流と言えます。
ちなみに私にとってのぬいぐるみは「応援団」です。

それにより拡大に伴ってぬい活のサービスも多様化しています。
ぬいぐるみの病院以外にもホテルにぬいぐるみ用のリネンがあったり、一緒に鍼治療ができたり、紹介しきれないほど多くのサービスありますが、
どれも共通して「もの」ではなく「いのち」として扱うサービスと言えます。

人口が増え、ぬいぐるみの種類やぬい活の仕方が多様化しているからこそ様々な形に対応できるよう制作する必要があると考えました。

 

制作物「ヌイノワールド」

きっかけで述べました問題点から、病院への入院に必要な要素は「お金」「病院の比較」「健康な写真」の三つです。
ぬいぐるみとの日常を記録でき、病院の比較とぬいぐるみ保険があればハードルはグッと下がるのではないでしょうか。

ターゲットは高校生以上のぬいぐるみ愛好家とし、アプリケーションを制作いたしました。
長年寄り添っているぬいぐるみが存在することとバイトなどで稼ぐことでお金を好きなことに使える層が高校生以上ということで設定しました。
世界観は命を感じられるようぬいぐるみが住んでいるような街を管理する、という表現方法を使用しました。

タイトルは「ぬいぐるみ」「イノセント(無邪気)」「輪(きずな)」「ワールド(世界)」というワードから制作しました。
ぬいぐるみのふわふわでもこもこなテクスチャを表現するためフェルトで制作しています。

 

 

 

機能1 ぬいぐるみの登録

「入居新規登録」という住民登録のような形でぬいぐるみを登録できます。
アイコンの背景は変えることができるので、ぬいぐるみの個性を考えたり、メンバーカラーを設定できます。
また、自作のぬいぐるみは世界に一つだからこそ「出生届」という特別な形で登録します。
複数のぬいぐるみを登録できるのも特徴の一つです。

 


 

 

機能2 絵日記の登録

ぬいぐるみごとに作られる「ときドキぬいログ」という絵日記を使って日常の写真を登録します。
こちらで登録した健康な写真は入院の際病院に提出するときに役に立ちます。
また、機能1で紹介した登録の際に使ったアイコンの写真が絵日記の1ページ目として自動的に登録されます。
病院に提出する健康な写真が最低一枚登録されるので日記を持続的につけられなくても安心です。
そして街の交番では迷子になってしまったぬいぐるみの特徴や状況を整理します。
その後実際の交番に紛失届を出すことにはなりますが、事前にまとめることでスムーズに記入ができます。

 

 

 

機能3 ぬいぐるみ保険

金銭的な負担を減らす役割を持ちます。
病院という外部のサービスに頼る以上割引などが難しい点があります。
満額は変えずに一括で払う量を減らすことで多額の支払い感を払拭することが目的です。
毎月積み立てという形で貯金をし、必要になったら優先的にそこから支払われるという仕組みになっています。

 

 

 

機能4 病院を探す

「ぬいふくしセンター」で用意されているアンケートに答えることで自分と患者さんに合った病院を探せます。
お気に入りの病院が見つかったらその病院の公式サイトから入院を申し込みましょう。

 

 

以上が大まかな機能となります。
その他にも楽しくぬい活が行える機能を展示されているプロトタイプにて触ったいただけると幸いです。

 

大切なぬいぐるみとの絆を、

「ヌイノワールド」を通してもっともっと深めていけますように。