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通り過ぎる現実に引っ掛かってみる

早川麻菜美
学科・領域
修士課程 美術・工芸領域
コース
美術表現コース
指導教員
岡谷 敦魚
卒業年度
2025年度

現実と私との関係─その可能性の一部としての作品。

【瞬間性、風、瓦解、認識、ズレ、物質性、身体性、モバイルメディア】といったキーワードで、遊ぶ感覚を持ちながら現実を捉えています。

作品は自分にとって馴染みはする。しかし、現実がこう見えるというビジュアルイメージがあるものでも、理想郷でも、綺麗さを追求したものでも、好き嫌いや思い出といった強い感情を起点としたものでもない。

・・・

物事は、その瞬間の主体や状況によって簡単に、その在り方が変わってしまいます。

例えば、目の前にクマのぬいぐるみがあったとします。しかし、虫にとってそれはただの物質かもしれないし、ある人はクマモチーフの推しキャラを連想させるかもしれません。ただ、この場では脈絡がないからとその思考を無視することもあるでしょう。また、LINEをしながら見れば、物理空間と情報空間の二つが同時並行していることになります。

しかもそれらは、一定の認識のままであり続けることはなく、つまり現実は常に揺れ動いていると感じます。

そのような現実の可変性や、時に認識のズレや誤認であることさえも、否定すべきものではなく、むしろ面白く綺麗な現象だと捉えています。

そのため制作では、その瞬間の自己と目の前の現実とのあいだで生じる現象─認識のズレや連想、自己のフィルターによって生まれる、いわゆる「各々の捉え方」─によって立ち上がる光景を描くことを意識しています。

結果、作品や、それを含めた展示全体は、現実(日常の一部である工房)を淡々と観察した結果として現れており、自身の興味対象(想像界/象徴界/現実界、モバイルメディア、空間、物質性、身体性、自己概念など)も投影されています。