MENU

消費社会の残骸をめぐる表現

利便性への依存が生み出す精神的退廃と身体的干渉の可視化
森 結菜
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
表現デザインコース
指導教員
山本 信一
卒業年度
2025年度

「RESIDUE」

【Residue /rézəd(j)ùː/ 名:残余、残滓、残留物】

 

RESIDUEとは、化学反応や濾過の過程で生じる「残滓」や「残留物」を指す言葉である。

戦後日本は効率と経済発展というフィルターを通し、「物質的豊かさ」という純粋な成果物だけを抽出してきた。

だが、その輝かしい成長の過程で、不純物として切り捨てられてきたものがある。

それこそが、私たちが本来持っていた「精神性」や「人間らしさ」といった目に見えない価値ではなかったか。

本作はこの「見えざる残留物」を、2つのエリアを通して可視化する。

 


Area-1 「The Grave of Matter」

かつて輝かしい未来を約束し、私たちの生活を彩ったテクノロジーの結晶たち。それらは役目を終え、今や物質文明の「墓標」としてここに鎮座している。

しかし、この墓標は静止していない。鑑賞者が近づき、干渉するたびに、そこに映し出された「顔」は摩耗し、機能不全へと加速していく。

私たちは、廃れていくプロセスを安全な場所から眺める傍観者ではない。自らの手でその崩壊を加速させる「当事者」であることに、気付かされる。

Area-2 「Void Scape」

「物質の墓標」を通り過ぎた先にあるのは、2面プロジェクションによる錯視を用いた没入空間。そこは、人間的な感情や論理が消滅した「精神の荒野」。

AIによって演算され続ける意味不明なカオス。かつて「人間」であった形は執拗に変容し、剥ぎ取られていく。

かつて人間だったものが消え去り、ただ知性だけが漂う「虚無(Void)」の世界。この「知性の夢」の中に、私たちの「心」の居場所は残されているのだろうか。