楝色とは、初夏に咲く楝の花のような薄い青紫色のこと。
楝は栴檀の古称で古くから親しまれてきたセンダン科の落葉高木。栴壇と呼ばれるようになったのは焼くと香木のようないい香りがするから。平安時代には五月五日の節句の日に菖蒲や蓬と共に飾られ、邪気を払うものとして用いていたが、中世頃からは不浄の木として、斬罪の生首を懸けるのに用いられたことが『平家物語』に見られる。
襲の色目としては、四月~五月のものを「表・紫あるいは薄色、裏・青」に配した色目で表現している。
▼節句の日なのに「不浄の木だから」と仲間外れにされてしまったので、泣いている鯉のぼり。その印として黒い歯が生えている。