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防府天満宮五重塔復原模型制作

白井那瑚
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
環境計画・保存コース
指導教員
平山 育男
卒業年度
2020年度

 私がこの模型制作をしようと思ったきっかは、地元の山口県防府市の防府天満宮に五重塔になるはずだった建物「春風楼」があることを知り、これを復原したいと思ったからだ。

 防府は菅原道真が無実の罪で太宰府へ流された際、本州で最後に立ち寄った地で、防府天満宮は日本で最初の天満宮と言われている。

防府天満宮拝殿

 防府天満宮境内にある春風楼は初め、五重塔として建築が開始されたが、天保2(1831)年の「天保の大一揆」によって資金難となり、建設が中止された。その後、工事は再開されたが進展せず、建築を断念された。工事の進んでいた塔の一層部分、軒下の組物をそのまま床下に組み入れた形で楼閣様式重層のお籠り所として春風楼は明治6(1873)年に竣工した。

春風楼

 春風楼について調べていくと塔の建築に先立ち、縮尺1/20の五重小塔が造られていることを知った。小塔は防府市隣りの山口市地蔵院にある。この小塔は天満宮五重塔の建立を命じられた大工である松屋喜右衛門が制作し、建立工事の中断後に日頃帰依している常栄寺の諦州和尚に贈ったもので、隠居した諦州和尚は塔の台石の中に位牌を納め供養塔とした。小塔の正確な制作年代は不明だが、五重塔建築計画に伴って制作されたことを考えると、江戸時代後期に制作されたものと考えられる。

霊光院五重小塔

模型制作

組物、蟇股、撥束、相輪の3Dデータを作成し、3Dプリンターにより出力した。

3Dデータ 組物

出力した組物

模型でしか表現することができないことをしたかったので、対角線で区切り、半分を軸組としている。

一層目

二層目

三層目

四層目

五層目

垂木

垂木

完成


感想
 無事に完成できて本当に良かったです。3Dプリンターという技術がなければ完成出来なかったでしょう。