ながおか てしごと ものがたり
作品概要
長岡で長く愛されている地場産物が主人公のしかけ絵本シリーズ
ながおかてしごとものがたりでは地場産物が誕生する過程を産物目線でお届けします。長岡の地場産物たちの語りと共に、子どもたちは「てしごとの世界」へ飛び込みます。そして産物の誕生を追体験するような形で絵本を読み進めていくことができます。たくさんのしかけやイラストなどを通して、職人気分を味わえるとともに、てしごとへの理解も深めることができます。
誰のためのしかけ絵本?
ながおか てしごと ものがたりは長岡市内の小学校3年生〜4年生の子どもたちに向けてつくられました。
長岡の特産品という「身近なもの」から新たな発見を得ることで子どもたちが、自分の身の回りの世界により興味関心を寄せられるようになることを目的としています。
コンセプト:発見がいっぱいの しかけ絵本
しかけを始め、本の形や質感など子どもたちが本と出会った瞬間からワクワクを届けられるようなしかけ絵本を制作しました。自分の手でイラストを変化させたり、絵本から地場産物らしさを感じたり、おもちゃのようにたくさん触って遊んでほしいと考えています。
しかけ絵本ができるまでの奇跡
研究テーマ:子どもの知的好奇心を育むためのデザイン
大学に進学後、私たちは幅広く人と関わるようになり、それにあたって人と正しく対話する能力が求められていることに気がつきました。「高校卒業後、ディスカッション能力が求められるのに、なぜ高校生までにディスカッション能力の教育が施されていないんだろう?」という疑問を抱きました。
当初の研究ではディスカッション能力を育むためのコミュニケーションについて考えていました。教員へのヒアリングとインタビューを通して、現在の教育現場の大変さを知り、教育そのものからアプローチするのではなく別の方向でディスカッション能力を養えないかと思いました。そこでディスカッション能力の土台となる知識欲に注目し、子ども時代における知的好奇心の研究を進めることにしました。
リサーチ
教員へのヒアリングや高校生へのインタビュー、その他のリサーチを経て知的好奇心の育みは子どもの健全な育ちを支え、学校、家庭、社会、それぞれの学びで求められていることがわかりました。また、課題として子どもの知的好奇心の育みの度合いは保護者の知識や環境に依存するということが挙げられました。
そして、知的好奇心は、特殊的好奇心「知っていることをもっと知るために情報を探し求めるタイプ」と拡散的好奇心「新しい情報を幅広く探し求めるタイプ」の二つに分けられます。イメージがしやすいように、今回の研究にてそれぞれの好奇心の育み方を水やり型と種まき型というように名前をつけました。今回は拡散的好奇心の育み方、種まき型に注目しました。
仮説・試作
種まき型における知的好奇心の育み方の特徴から「子どもの知的好奇心を育むためのデザイン」の答えとして、「身近なものから新しい発見が得られるように子供たちを導き、非日常の体験を与えるデザイン」を提案することにしました。
まずはどのような提案ができそうか方向性を考えました。
リサーチにて「学びは遊びと一体である」という言葉から、職業体験ゲームが連想されました。そして、そこから地場産業に焦点をおき長岡の醸造文化をテーマにしたコンテンツの制作を始めました。
取材
二件の企業様にご協力をいただき、実際の手仕事の現場を見せていただたり、小学生の見学に混じり子どもたちの様子を観察させていただいたりしました。そして以下三つのことがわかりました。
①「てしごとの特徴的な動き」を知的好奇心の入り口にできそう
②作業を体験できることへのワクワクよりも、一瞬でも職人になりきれたことへの達成感の方が
子どもたちの記憶に残りやすい印象を得た
③小学校では地場産業を扱う企業への見学を行なっていますが、小学生の理解度に合わせた見学
であるため、職人さんが大事にしているてしごとの繊細な部分や専門的な話は控えめで一般的
に想像がしやすい部分の説明が多い
以上のことから
・てしごとの様子が楽しい形でもっと伝わる方法はないかな
・手や目で感じることができる体験を大切にしたいな
と考えました。そして知的好奇心を育むための「発見」「考える」「感じる」を体現できる媒体を検討し、現在のしかけ絵本が誕生しました。
成果物
展示のようす
作品紹介動画
【卒業研究】ながおか てしごと ものがたり 紹介動画 short ver.
【卒業研究】ながおか てしごと ものがたり 全容
本書が子どもの知的好奇心の育みの一端を担えたら嬉しいです。子どもたちの毎日がワクワクで溢れることを願っています。
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