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町柄観察

ー新潟市古町通を覗き視るー
高野瑞子
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
環境計画・保存コース
指導教員
津村 泰範
卒業年度
2023年度

あの町が好きなのは、なんでだろう。
あの町に行きたいのは、どうしてだろう。

わたしの町の、隣のその隣の町。わたしはあの町をよく知らないけれど、時間の流れが穏やかそうなあの町で生活できたら、良い生活ができる気がする。

僕の町から電車で数駅の町。僕はあの町の何者でもないけれど、あの町に行く僕は、いつもよりかっこいい気がする。

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私にとってあの町は、新潟市古町通でした。
本研究は、古町通1~9番町を舞台として、あの町をそこまでよく知らない、何者でもない私がみている、あの町の輪郭をたどる方法の研究です。

この輪郭を、町柄」と名付けました。

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「町の輪郭」を観測する

町を人で表現してみると、どうなるでしょうか。本研究では、「町柄調査実験」としてこれをアンケート方式で行いました。
人で表現してもらうことで、言葉での説明では出てこないような、主観潜在意識からの「古町通の見え方」を探ります。
これらを人物像の共通点、及び古町通の「偏見」「理想」「不満」に分類し、設問1/設問2、メモ書きに使われた言葉の統計などから、古町通1~9番町の町柄やまちづくりを考察、分析しました。
▽アンケートに使用した説明ボードと回答用紙

▽詳しくは論文本文第3部に記載しております。
高野瑞子の卒業論文
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▷現時点での、「町柄」論
本研究では「町柄」の定義づけと理論の確立、調査の方法論も模索しました。

そもそも町柄とは、抽象的な概念であり、例えば町づくりの計画の際にたてるような、目的や目標、理想とする町の様子などを表すもの(人の集う場所を目指して、伝統的建築物が残る場所を目指して、等)ではなく、主観による場のテイストであること。
そしてその主観は、多くの人に共通し、かつ多面的になれる必要がある。受け取り方、使い方、感じ方が様々である一方で、1つの信念として多くの人が共有できるものであってほしい。
そうすることで確立されるものが「町柄」であり、これをもつ場が「町柄をもつ町」である。
これらを実験の計画、実施、結果の考察を通して考え、町柄の定義は「より多くの主観と、潜在的な町の性質に基づいてまとめることができ、多方面に応用できる場のテイスト」としました。

よって調査の方法論も、これにのっとり、「主観の調査」と、「潜在的な町の性質の調査」の2つを行うことが望ましいとします。具体的に、私が今回の研究で行ったことでは、「主観の調査」では、町柄調査実験、「潜在的な町の性質の調査」では歴史の調査と考察、まち歩きが当てはまります。
ただ、私の今回のやり方は、あくまでも調査方法を探る中で考えたやり方のうちの1つの例であり、必ずしもこの調査が必要ではない、と考えています。
▽歴史の考察概要

▽歴史の調査については論文本文第2部第1~3章、歴史の考察については論文本文第2部第4章にて詳しく記載しております。
高野瑞子の卒業論文

▽まとめました

▽詳しくは論文本文第4部に記載しております。
高野瑞子の卒業論文

町をみるとは。町に、もしくはあの場に対していろんな「わたし」や「僕」が抱く、「感情」や「印象」、それらを通して感じる「魅力」を、どうにか大事にできる方法を探りたかった。そんな研究でした。
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▽「町柄調査実験」として実施したアンケートにて、ビジュアルイメージをイラスト化して回答いただけたものは、筆者が改めて描き起こし、分類ごとに一覧にしました。最後に良かったらご覧ください。

▽町柄調査実験で得られた回答をもとに、特徴をまとめてアクリルスタンドを制作しました。

▽展示の様子

—最後に、本研究にご協力いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。—