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地域おこし協力隊のネガティブ経験に関する研究

-栃木県芳賀地方の市町村を事例として-
菅谷佳祐
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
環境計画・保存コース
指導教員
福本 塁
卒業年度
2023年度

背景と目的

地域おこし協力隊の現状

全国各地で活動している地域おこし協力隊ですが、中には地域住民や行政とトラブルになっているケースも少なくありません。そんな地域おこし協力隊のトラブルや苦労、悩みなどの「ネガティブ経験」について研究を行うことになりました。

 

行政職員として


地域おこし協力隊は行政と密接にかかわりあっています。隊員の活動内容を行政が決めている場合もあれば、活動の手助けをする場合もあります。そんな近い距離にあるからこそ、行政が地域おこし協力隊のネガティブの原因になってしまうこともあります。そこで来年度から行政職員になる私自身の立場も踏まえ、地域おこし協力隊のネガティブな現状を把握し、地域おこし協力隊のネガティブを予防するための方法を考えていきます。

 

ネガティブな言葉


地域おこし協力隊のネガティブを調査するにあたり、隊員の発言などからどの程度ネガティブな言葉が見られるのか、どんなネガティブな言葉が見られるのか、“ネガティブな言葉”に着目することにしました。

 

ケーススタディ


はじめに栃木県真岡市の地域おこし協力隊を対象に調査・分析を行いました。3名の隊員のネガティブ経験について分析していきます。

隊員Aと隊員Cの事例では、活動内容に関してネガティブを感じていたものの、その経験は活動を経て喜びや達成感などのポジティブ経験に繋がっていました。結果として自身の成長につながるネガティブ経験であったと推察できます。

隊員Bの事例では、行政職員との間で活動に対するズレが生じていたことが分かりました。現在では役所の上層部に相談するなどして解決していましたが、「解決には時間がかかった」と話していました。このことから人間関係に関するネガティブは長期化する恐れがあると考えられます。

 

仮説と検証


ここまでの結果を踏まえて、以下の仮説を設定しました。

仮説1 「他の市町村でもネガティブな事例が存在するのではないか」

仮説2 「他の市町村での取材において別のネガティブな言葉が見られるのではないか」

益子町の行政職員の話から、過去の事例としてネガティブが存在していたことが分かりました。

 

ネガティブ辞典


ここまでの調査で見つけたネガティブな言葉や隊員のネガティブな発言から、「ネガティブ辞典」を作成しました。ネガティブ辞典には、ネガティブな単語・その単語を含む隊員の発言・その概要・程度・解決方法を記します。今後、ネガティブに遭遇した際のバイブルとして、またネガティブを予防するためのツールとして活用し、わたし自身が行政職員として働くなかで書き加えていくものとします。

考察とまとめ


調査の結果、真岡市において隊員と行政職員の間でネガティブな事例が見られました。またその原因として、「短い期間で決められた活動を行うという協力隊制度の制約」や「行政職員の部署が異動になることによる協力隊への理解不足」などがあると考察します。予防策として、過去のネガティブな事例を正確に引き継ぐこと、既存の「おためし地域おこし協力隊」などを取り入れ事前の調整を行うことが重要であるとの結論に至りました。

最後に


地域おこし協力隊には良い面も悪い面もあると思います。今後行政職員として、少しづつでもその悪い面を改善しけたらと思います。もしかしたら皆さんの周りにも地域おこし協力隊員がいるかもしれません。是非一度、気になる地域や地元の地域おこし協力隊について調べてみてほしいと思います。