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七宝焼きによる植物表現の研究

燈 / 煙にヒマワリ / サンセベリア / クロトン
大坂恭子
学科・領域
美術・工芸学科
コース
美術・表現コース
指導教員
菅野 靖
卒業年度
2020年度

はじめに
本研究は伝統工芸である「七宝焼き」という技法への理解を深めるため、植物を題材にして4つの作品を制作しました。
本研究の紹介を通じて、七宝焼きのことを少しだけ知って頂けたら幸いです。

七宝焼きとは
七宝焼きとは金、銀、銅などの金属にガラスの釉薬を焼き付けた工芸品です。

工芸品と言うと堅苦しく、あまり馴染みがないように感じられるかも知れません。
しかし、実はホーローという別の名前があり、お鍋や浴槽といった姿で皆さんの身近なところに根ざしているのです。
(厳密に区分すると、七宝とホーローは少し異なるものとする説もあります。)

七宝焼きは、時にはガラスと金属を織り交ぜた不思議な輝きを放ち、時には泥のような不透明なやわらかさまでも表現出来る無二の魅力を持っています。

研究の概要
 概要…七宝技法を用い、植物を題材とした複数の作品を制作していきます。
 目的…1. 七宝技法への理解を深めるため。
    2. 植物の表現方法を探究するため。
 研究の流れ…
    1. 基準となる作品を制作する。
    2. 制作した作品を元に、新しい表現が出来ないか発案する。
    3. 次の作品の図案を描き、制作方法を考える。
    4. 制作のための実験をする。
    5. 実制作をする。
    6. 2~5 の制作の流れを繰り返し、新しい表現方法を模索、展開していく。

研究内容


左から「燈」「煙にヒマワリ」「サンセベリア」「クロトン」。制作順に並んでいます。

第1作「燈(ともしび)」

草むらに置かれたランタン。小さな火は柔らかく燃えている。

技法… 有線七宝、抜き針
素材… 銅板、銀線、七宝釉薬
制作時期…2019年9月頃~2020年1月頃

第2作「煙にヒマワリ」

夏が去り、冷たくなった空の下に立つ枯れたヒマワリ。野焼きでもしているのか、辺りは煙の匂いがする。

技法… 有線七宝、平脱七宝
素材… 銅板、銀線、銀箔、七宝釉薬
制作時期…2020年6月頃~2020年9月頃

第3作「サンセベリア」

実家の隅に佇んでいた大きなサンセベリア。ある日、ぶつ切りにされて小さくなっていた。

技法… 無線七宝、抜き針
素材… 銅板(t 1.2㎜)、七宝釉薬
制作時期…2020年10月頃~2020年11月頃

第4作「クロトン」

葉の色の面白さに惹かれ衝動買いしたクロトン・ブッシュアンドファイヤーがモデル。
葉の先端から更に葉が生える面白植物。

技法… 無線七宝、打ち出し、ロウ付け、銅メッキ
素材… 銅板(t 0.3㎜)、銅丸線(φ 2.6㎜、1.5㎜)七宝釉薬
サイズ…H115 × D90 × W80 × ㎜
制作時期…2020年12月頃~2020年2月1日