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おじょ舞台

富本ひより
学科・領域
美術・工芸学科
コース
クラフトデザインコース
指導教員
藪内 公美
卒業年度
2023年度

研究テーマ:金属と特殊舞台メイクについて
サイズ:71×146
素材:銅板、ラテックス、布、アクリル絵の具、その他化粧品等

 自分でありながら違う種類、年齢の生き物になることが出来る。変身出来る。そんな能力に憧れた事はないだろうか?
 これを実現出来るのが特殊メイクである。鼻の高さや顎の形を少し変える程度から自 分の顔の向きや種族を変える程度まで、昨今では様々な技術が生み出され続けてい る。昔から特殊メイクに興味のある私は、それに用いられるパーツ、仮面などについ ての方面から研究することにした。 まず、仮面の歴史は想像より遥かに深い。ヴェネツィアンマスク等、身分や階級を隠 し自由を味わう為の仮面も存在していた様だが、その始まりは魔除けや呪術の為の道具として生まれた、という説が有力だ。宗教上の精霊や動物になりきるための器。太古から人々は何かになりきるという行為を行なっていたのだ。さすが魔除けの為と いうだけあって、世界各国の古い仮面は、ギョロリとした目のものや極彩色のもの、不 気さを感じるものが多かった。さて、この太古の仮面だが、その多くは木製のものと なるようだ。中には、石製のものも見られる。形もまちまち、色も何もが自由だ。そこで 私は閃いた。この自由さで、私の為だけの顔を作ろうではないか。自己愛については 割愛するが、いかにもナルシストの私が思い付きそうな事である。私の魔除け。私が 私の役作り。なんて素敵。そうと決まれば得意の技術も活用してパテやグリースペイ ントを使った特殊メイクに、金属で仮面やパーツを作る。こうしてその顔を実現しようと 考えた。自分を表す為のモチーフは、日頃の渾名や身に付けているものの、自分イメージから…