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変わりゆく時代の兼業農家

新しい地域コミュニティ
高橋 惇
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
建築・インテリアコース
指導教員
与那嶺 仁志
卒業年度
2024年度

新潟県は農業が盛んに行われていて主に稲作が中心で、全国トップの生産量を誇ってるが年々その生産量と田んぼの数は右肩下がりになっている。これは新潟県の農業従事者の約70%が兼業農家として農業をしていることに関係している。兼業農家は副業として家族全員で農作業をする家庭が多く、田植えや稲刈りの時期になると家族総出で作業をしていたものが、若者の参加が減ってしまい人手不足になってしまう。また、高齢化に伴い辞めてしまう人や後継者となる人がいない事で、続けることが難しくなったと考えられる。

そこで、今ある兼業農家を終わらせないために、現在も続いている農家同士が協力し合い、人手不足を補っていくことができる兼業農家コミュニティが必要だと考え、その兼業農家コミュニテの拠点となる建物を提案する。対象敷地としたのはお祭りやイベントが開催されていているこの土地とした。この敷地は行事の中心となる場所で、西側の生活動線と東側に集中した田んぼや畑に行くための農業動線の中間地にあり、どちらからもアクセスしやすいと考えた。

これらをコミュニティの拠点として、家族内で完結していた農業を兼業農家同士で協力し作業することで人手不足を補い、作業の効率化ができると考えている。そして、トラクターやコンバインなどの農機具を共有して使うことで、保管場所の確保やメンテナンス費用のコストダウンも見込める。また、拠点を作ることで農業に興味のある人への情報提供がしやすくなり、新たな人材確保も見込めて持続可能な農業の形ができると考えている。農業動線はイベント時などには住民が歩く動線にもなるため、集会場と農業倉庫は東側に、外からの人が入りやすいように共有スペースは西側に配置した。

集会場:小上がりの畳敷になったいて、土間を挟んで広場と繋がり解放的な空間になる。また、土間部分に共有キッチンを設けていることで農作業の休憩の時に泥や汚れを気にせず入ることができる。

 

農業倉庫:使われていなかった倉庫を改装するにあたり、老朽化と長年使われなかったため二階部分を減築することで、建物自体の自重が軽くなり耐震性が強くなる。また、天井にトラスを組むことで広いスペースを確保し農業用倉庫として使用する。

 

共有スペース:この建物は元々鉄骨造なため、元々あった壁や天井を抜き、建物全体を一体として使用できるようにして、一面に窓を設けて明るく抜けた空間へとした。また、目の前には畑があり新しい農薬の実験や農業をやってみたい人への体験場になっていている。

この3棟はキッチンと軒下を共有することで新たな空間が生まれ交流を広げることができる。

こういった複数のことを一つの場所で行うことで新しい地域コミュニティの形ができ、持続的に兼業農家ができると考えている。