Paper balloon chair
▼今回私は風船を型にした張り子の表現研究といったテーマで進めてきた。
▽風船はどうしても時間とともにしぼんで形を変えていってしまうものである。その反面、張り子は紙で包み、形をそのままに残すことのできる、だるまやあかべこなどの製品に使われている技法のひとつである。
この時間の中で変わっていく素材を留めるという点に着目して取り組んできた。
▽この度提案したいのはペーパーバルーンチェアである。
この椅子は細く長いペンシルバルーンを編み、それらを型とし、そこへ紙を貼り重ねることで形状をつくっていく。
風船自体は柔らかくエアーを内包しており不安定な存在であるが、外側に外骨格のように張り子を利用することで柔らかな表情そのままに閉じ込めて置ける。
▽風船を紙でつつみ、その張り子で人間をつつむ。そうして時間を忘れるようなリラックスした場所になったらと考えている。そのため繭やみのむしのように自分を包み込むフォルムとなった。
▽細部について。座面部分にはあえてフレッシュな風船でクッション性を上げている。
この部分は空気が抜けていきしなしなとなったら取り換えるものと設定している。
椅子全体の張り子部分の固定された時間と座面部分の風船の変化していく時間のコントラストを見て、触って楽しんでほしい。
▽ペンシルバルーンでつくる型については編み方を三種類使用している。
1.六角形、または12角形を起点とした円状に広げていく編み方で座面の部分をつくり、身体を安定して受け止める。
2.X状に編み方で背から床につく部分についてつくり、均一に平たい面を長く伸ばしている。
3.かご状に包む編み方で側面の部分を編み、ボリュームのある椅子を演出している。
▽使う場面想定について。本体は紙、座面は風船でできている為修理して使っていくことを念頭に置いている。張り子であるため負荷の大きくかかった部分に紙を重ねて覆うことで修理性を補完している。
想定シーンについては期間限定で使われることを考えている。例えば、展示会、季節の企画展、インスタレーション空間などで会期が終われば役目を終え、修理されたり、形を変えたりしていくことを含め、体験価値としたい。
▽最後にペーパーバルーンチェアは時間の経過を前にした私たちがどう営んでいくのか、そのような素材と構造の持つ椅子である。
この制作と作品を通して、ものの寿命や使われ方について、考えるちょっとしたきっかけになれば幸いである。