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家法

我が家のヘンなあたりまえ
池谷心都
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
徳久 達彦
卒業年度
2025年度

 

研究テーマ「家庭独自の価値観に基づいた習慣を、面白いものとして捉える研究」

 

研究背景

大学の友人を部屋に招いた、ある夜のこと。いつものように湯を沸かし、コーヒー要る?と何気なく尋ねた。

「22時にコーヒー飲むって遅すぎない!?」

言われてみれば、ヘンだ。

覚醒作用が最大の特徴である飲料を、なぜ眠る直前に飲むのが習慣になっているのか。それは、

実家で、毎日22時に家族全員参加のコーヒータイムがあったから。

友人の鋭いツッコミは、実家ではあたりまえだった習慣のヘンさと、

ヘンさを指摘される機会の少なさを教えてくれた。

 

友人にそう指摘されるまで、私の中の「コーヒー=夜の飲み物」という認識が覆ることはなかった。

これは従来の価値観のままでも一向に構わない例だが、

もし「コーヒー=女が率先して淹れるべきもの」と認識を与えるような習慣だったとしたら?

実家の習慣で身についた常識を外で振るえば、「その習慣ヘンだよ!」と

価値観のずれを指摘してくれる友人も離れていくことだろう。

 

いったいいつ、実家で育てた価値観のヘンさを自覚することができるだろうか。

 

参考事例

2025年春ごろにSNSを中心に急速に広まった、「さす九」というSNS上のスラングをご存知だろうか。

同年の3月9日発行の西日本新聞に取り上げられるなど、SNS外にも広まりつつある、

九州地方における男尊女卑の価値観があらわれた習慣を「さすが九州」と皮肉る言葉だ。

このスラングが大きな注目を集めた背景には、「この習慣はヘンだ!」と

不満を訴える投稿を見たことがきっかけで、

自分の家庭はどうだったかと比較し、それまで家庭の常識として受け入れていた習慣のヘンさを認識して

自分の不満を発信した当事者が多くいたからだと推測する。

 

本書は、本校の大学生、教員とその家族を対象にインタビュー(8人)、匿名アンケート(19人)を行い、

家庭のヘンな習慣や常識と、それにまつわるエピソードを一覧できるようにしたもの。

つまり、この習慣がヘン!集である。

 

他人の家のヘンな文化を知り、自分の家庭はどうだったかと比較することで、

あなたの実家のヘンな文化が見つかったり、「あたりまえと思っていたけど、

実は実家特有のものだったポジティブな意味でのヘンな文化」の存在にも気付けるかもしれない。

 

ちなみに、この原稿を書いている22時4分現在、私の手元にはやはりコーヒーがある。

染みついた習慣も、それをヘンだと笑う声も、結局のところ私が今何をするかを

決めるほどの強制力はないのだから。

 

本書まえがきより

 

エピソード全編

https://drive.google.com/file/d/1yWKWO4LasJ4Rb8ghDwQ9lzyV1qvMBaiQ/view?usp=sharing