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柔よく剛を制す

都市に重なり、受刑者更生を支える刑務所建築
手島亜久里
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
建築・インテリアコース
指導教員
与那嶺 仁志
卒業年度
2025年度

刑務所は本来、社会から個人を隔離しながら、受刑者の更生を図るための施設である。しかし、従来行われてきた塀による完全な隔離は社会との関係性を断ち、出所後に再び社会へ復帰する感覚を失わせてきた。
本提案は、この「隔離」と「更生」という刑務所の構造的な問題に対し、刑務所を都市から完全に切り離すのではなく、都市の中にレイヤーとして重ねて配置することで、「隔離」と社会との「関係」を同時に成立させる。そして、力による隔離ではなく、社会や自然を感じ取れる環境との関係性を通して自律を育む、新たな刑務所空間の構築を試みる。そこでは、社会との物理的な交わりがなくとも、両者の日常が重なりながら、その空気感や光、受刑者の営みが、空間や制作物を通した“交わらない交流”によって社会と共有される。そして、受刑者と社会の関係性が緩やかに再調整されることで、社会からの理解と受刑者の能動的な更生を支えられる環境を整えることを目指す。

塀で分断せず、層で隔てる
高く堅牢な塀で刑務所一帯を囲うことで、刑務所を社会から切り離し、受刑者の空間を隔離するという従来の刑務所境界のあり方を再考し、刑務所空間と一般開放空間を人工スラブを用いてレイヤーとして上下に重ねることによって、受刑者の空間と都市の空間を隔てる操作を行う。下層となる一般開放空間には大規模な都市公園的空間を計画し、高さによって刑務所空間との距離を保ちながら、光・空気・気配が緩やかに共有されることで、「隔離」と「関係」が同時に成立する、新たな刑務所の風景をつくり出す。

1Fエントランス前

1F公園空間

2Fデイエリア

2F東側通路

大吹き抜け空間

平面プラン
立面・断面