MENU

学生と地域の交流可能性を有する空き地空間の実態に関する研究

-長岡造形大学生の作品を販売するアンテナショップを事例として-
横井公亮
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
環境計画・保存コース
指導教員
福本 塁
卒業年度
2020年度

<研究の背景・目的>

 現在、空き地・空き家等の空き空間は年々増加し、周辺環境に悪影響を与えています。しかし、筆者は高校時代にいくつかの「空き空間の活用についてのコンペティション」に取り組む中で、空き空間を単なる「空き地」にするのではなく、周辺環境や街に溶け込むような活用方法が検討可能であると感じ、空き空間が街の魅力を引き出す可能性に興味を持ちました。高校時代にいくつかの空き地利活用の提案をしましたが、特に学生という立場であれば、様々なやりたいことがあったとしても、実際に空き地を活用するには非常に敷居が高いです。例えば、使用用途に沿った空き空間の選定、所有者・管理者の連絡先の入手、所有者・管理者への連絡・説明・交渉、実使用の際の注意点、使用許可に関わる手続きや安全管理、資金等の様々な問題が発生し、非常に困難であることが想定されます。しかし、このまま放置しても問題が改善することはないため、活用に向けた空き地の管理・実態把握に関する基礎的な研究や活用可能性としての取り組みの実践が希求されていると考えます。
 そこで、本研究は「学生の空き地利活用の可能性」に着目し、長岡造形大学周辺エリアにおける空き地の実態を把握し、それらの空き地においてどのような学生の利活用の可能性が反映されうるのか試行することを目的とし、成果の一部を示すことで土地の所有者や学生の「空き空間の利活用」に関する興味・関心を引き出す一助になることを目指します。

 

<結論>

空き空間の活用は「管理され、接道条件が良い」空間としての需要が高いことが第一需要として想定されやすいですが、大地の芸術祭等のアートイベントにも見られるように「その空間の状態を素材として見る活用方針」のあり方がミクロなスケールの空き空間活用にも適用可能性があるのではないかと結論づけました。

<調査結果(空き地の実態把握調査マップ)>

「長岡造形大学の周辺エリア」である9区画、「蓮潟」「宮関」「古正寺」「荻野」「下柳」「鉄工町」「寺島」「千秋」「東堺町」を対象として空き地の実態把握調査を実施した結果を示した地図になります。

長岡造形大生も多く居住するエリアである「蓮潟」「宮関」「下柳」「古正寺」は空き地区画総数も多いが、活用可能な空き地区画数も多い結果となった。それに対し、「鉄工町」「千秋」「東堺町」は空き地が存在しない地区となっていました。この結果は、鉄工町が工業系用途地域であり、千秋と東境町は商業系用途地域であるためと考えられます。

<提案>

こちらが、本研究の調査を通じて抽出された学生のプロジェクトが長岡造形大学周辺エリアで社会実装されることを想定したCGパースになります。このようなCGパースが実在することで、学生と空き地の所有者とのつながりを想起させ、学生が空き地を利用する敷居を下げ、或いは土地所有者が学生に空き地利用を許可する取り組みを促すことにつながり、学生と地域の交流を促す一助となれば幸いであると考えます。

<研究を通して>

 卒業研究を進めるうえで、空き空間について何か研究したいという思いがまず第一にあり、今回それを達成することができたことに大きく満足しています。この研究は自分一人ではまず形にならなかったと思います。指導教員である福本先生に多くの助言を頂き、また、同じく研究室の方々から多くの意見を頂いたからこそ実現したものだと思います。力を貸していただいたすべての方に感謝を記し終わりにしたいと思います。ありがとうございました。