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刺繍の文を主体とした表現の研究

embroidery&story
佐藤 環
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
御法川 哲郎
卒業年度
2021年度

 

2年時から自主的に刺繍の文字を用いた制作を進め、文字の違いだけでも雰囲気が大きく変わる刺繍にはさまざまな応用ができると感じていました。1文字ごとに刺繍していた時の思い出や考えが詰まっているため、表面上の情報以上のものが刺繍にはあると考えています。そして今までで最も大きな作品を制作したときどのように感じるのか、という疑問をきっかけにテーマを決定しました。

 

研究のねらいは柔らかな雰囲気を持つ刺繍が大量に存在する場合印象は変化するのか、参考にするフォントの違いで印象に変化を与えることができるのか、書いた文字や印刷された文字とは見え方にどのような違いがあるか、などです。

 

題材『星の王子さま』から要所を抜き出し刺繍しました。文字の大きさは小さなもので1.5cm×1.5cm、大きなもので4cm×4cmです。布の色は場面に応じて決めており、黄土色は昼の砂漠、黒は夜の砂漠、青は王子さまの星、白は場面設定のないモノローグや回想に使用しています。説明文はヒラギノ明朝体、セリフ文はヒラギノ角ゴシックを参考にしています。また、糸の色によって登場人物を区別しています。

 

 

研究を通して感じたことについて、遠くから見ると印刷した文字や書いた文字のように見え、近くから見ると糸の表情や厚み、手触りを感じる、距離によって見え方が変わる作品になったと感じています。また、刺繍において文字量が増えるほど明朝体には文字の圧力を感じましたが、ヒラギノ角ゴシックにはその圧力を感じにくいというフォントによる違いも感じました。刺繍は時間も体力も必要なアナログな作業でしたが、他の文字表現にはない情報の厚みや温もり、手触りがあり、さらにさまざまな場面に応用できると感じました。