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人間の持つ差別意識を捉えるための表現

羽根ともみ
学科・領域
美術・工芸学科
コース
美術表現コース
指導教員
遠藤 良太郎
卒業年度
2021年度

 私は人種差別問題をテーマに作品を制作してきました。差別問題が少しでも解消に向かうためには一人一人が当事者意識を持ち、立ち向かわなくてはいけないと考えていいます。今は解決の方に歩みを進めているのかもしれませんが、依然として世界中の色々な場所で起きています。私はこの実態を放置してはいけないと考え、美術の力で問題に立ち向かうことで、一人でも多くの人が関心を持ち、そして自身も考えを深めることを目指します。

胎盤

見た目や宗教などの価値観など、色々な理由から残虐な行為をしてきた過去に恐怖を感じました。差別の原因となっている要因を引き剥がして、人間の臓器や機能的なものなどに注目したときに、自分たちの平等性を説明する事ができるのではないかと考えました。
それで私たちの体を巡っている「血」というものに注釈を当てて作品を作りました。血も見た目に差異がなく、同じように私たち全ての体に巡っている物質です。自分たちを優生な立場だとして、それ以外と括った人々を不当に扱うことがどれだけ愚かか考えました。そのことへの批判を込めて、この作品を制作した。生命が育つ胎盤、循環する血液、内臓や臓器を連想させる赤。循環する血液が巡り、また繰り返し生まれてくる神秘性を持たせ人間の始まりを描いています。

「血液」から発想を得て作った作品です。この中には色々な写真を入れています。ナチドイツから差別を受けていた人や、その他色々な国の人、また自分の写真などを作品の中に閉じ込めています。これも一貫して自分たちの流れている血液を連想させ、そしてこの胎盤の中に帰り循環していくことをイメージしています。

沈黙

沈黙は暴力だ、Silence is violence』
アメリカで起きたジョージ・フロイドさんの事件がきっかけで起きたB L M(Black lives
Matter)でデモに参加した人が掲げていた文章です。声をあげないことは、差別を認め助長する事につながります。それはつまり人種差別を認めている事、そういった状況を認めていることと同義です。根深い人種差別の問題に立ち向かうためには、一人一人が関心を持ち差別の問題に取り掛かる事が大切だと考えています。
日本人は差別への関心が薄い。目を逸らし、口を閉ざす。この作品は沈黙する私たちの姿を描きました。彼、彼女は目線を逸らし、口元にかけて薄い膜を貼り問題との線を引く。