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parlando

動物をモチーフとした焼き物による造形研究 —動物同士の対話から模索するコミュニケーション手段の探求—
小笠原翠
学科・領域
美術・工芸学科
コース
美術表現コース
指導教員
小林 花子
卒業年度
2021年度

 人にとっての「言葉」とはあらゆる事象を説明できる手段であり、自らの心の内も「言葉」によって説明できる。しかし、言葉は使い方次第では相手を不快にもさせるし、場合によっては凶器にもなってしまうと思う。また、私が伝えた言葉の意味と相手が感じ取った言葉の意味は必ずしも同じとは言えない。とはいえ誤解のないよう言葉に気を使いすぎると、相手と良い関係が構築できなくなってしまうのではないかと怖れることもある。では、動物はどうだろう。鳴き声を指して動物の「言葉」と呼ぶこともあるが、人間のそれとは大きく異なっている。少なくとも鳴き声の中で語彙や文法を使い会話しているわけではなく、彼らは表情や仕草などでコミュニケーションをとっているのだと私は考えている。言葉を飾る必要がない分、こちらの方が互いを理解しあっているような気がする。人との関わりあいにおいても、仕草や表情などで相手を理解できた方が言葉を使った時よりもずっと相手と親しくなれたようで嬉しくなる。
 今回の制作では、人とのコミュニケーション手段の探求をテーマに、人同士の対話を動物同士の対話に置き換えた造形研究を行った。

 他愛ない会話をしながらくつろいでいる動物たちを、信楽土を使用し塑造で制作した。信楽土は焼成すると肌のようにきめ細やかな表情と温かで優しい色合いに変化するため、穏やかな空間を表現するのに適していると思った。
 言葉はないものの、動物たちがまるで言葉を交わしあっているような雰囲気や空気感を創出したいと考えた。違う種族の動物たちが同じ空間に存在してくつろいでいるという光景は非日常的に見えるかも知れない。しかし、人同士のコミュニケーションの場合、立場や育った環境が違うことは当たり前だと思っている。そうした人間の社会的集団を色々な動物に置き換えて造形表現することで、多様な人同士のコミュニケーションのありようを表現しようと思った。

 

 素材は信楽土を使用し塑造により制作した。塑造は自分が思い描いている形を直感的に作り出すことができ、指先の感覚が直接作品に影響する。そのため、制作段階と完成作品のイメージが一致しやすいように思う。さらに、陶土であれば焼成することでそのまま形に残せるという点が魅力的である。

 展示では、動物たちの存在感が伝わるような空間を目指した。
ここで言う存在感とは、作品としてのオーラや印象のことではなく今自分が立っている現実世界に動物たちも一緒に生きているような感覚である。私達と同じ地面に動物たちも接していることで、その感覚を自分や鑑賞者が掴めるのではないかと考えた。

 言葉は人との対話において欠かせないものである。相手のことをもっと知ること、自分のことをつぶさに伝えることはなかなか表情や仕草ではできない。しかし、言葉以外のコミュニケーションでは自分の持ち得る想像力と配慮をもって互いが相手の感情に耳を傾ける。そのため、私達は親身になって意思を伝達しあうのだと考える。また、言葉を用いない対話というのは空気や雰囲気で成り立っている。だからこそ、さりげない愛情やぬくもりを感じられるのではないだろうか。優しいまなざしや安心している表情を作ることで、そういった穏やかな空気感を表現することができたと思う。

 

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