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みえる色

共感覚の視覚化
義澤香南
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
伝達デザインコース
指導教員
阿部 充夫
卒業年度
2021年度

「共感覚」
そう聞いてすぐにそれを理解できる人はどのくらい居るだろうか。
一般的に文字や数字。形や匂いなどを色に置き換えて感じる感覚のことを言う。

「あ」は赤色、「い」は黄色など。

私はそれを幼い頃から感じることがあった。

「わぁー世界がカラフルに見えるなんて素敵!」
そんな言われたこともあった。
しかし私にとっては、とてもネガティブに感じる感覚であった。

本を読んでいても、それは色の羅列で変換され、感情移入は難しかった。
広告に使われる配色も、文字に感じる色に邪魔をされて違和感を感じることは多かった。

正直邪魔な感覚だと思ってしまっていた。

これを、この感覚を抽象的なまま作品にしてみよう。

そう思えたのは共感覚を感じるようになってから約20年経った今が初めてだった。
やっと自分のこの感覚と正面から向き合うことが出来た気がした。

ある研究では23人に1人は共感覚を持つと言われる。
しかし、この不思議で奇怪な感覚は得体の知れないものとして精神病と結びつけられることもあるくらいに、言葉で表すことは難題であった。

この感覚を否定することなく、肯定しに行った作品。それが私の卒業制作である。

何を見ても何を食べてもそれが色に置き換わる。

そんな世界に生きる共感覚所持者は、この作品を見ている人の中にどのくらい居るのだろうか。