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メンタルマップを用いた地域愛着調査手法の提案

岐阜県大野町を対象にして
仙石 雄也
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
環境計画・保存コース
指導教員
福本 塁
卒業年度
2022年度
 メンタルマップとは実際の地図などを見ずに記憶だけで描く地図のことをいう。
 授業でメンタルマップを描いて、それを用いて相手に自分の地元について説明するという時間があったのだが、「とても話しやすいし、話も聞きやすい」というのが率直な感想だった。それと同時に、「描かれている要素などに注目してみると共通点があったりなど、メンタルマップを描くうえでの特徴も見られるのでは?」と考えた。

 そこで今回は、「地域愛着」と「メンタルマップ」の関係性に注目して研究を進めた。
・メンタルマップに描かれる要素には愛着度が影響するのではないか
・メンタルマップに描かれる要素は、その人が地域の中のどの辺りで地域との関わりが強い/弱いかを可視化することができ、そこから地域資源・地域の課題を見つけるのに役立つのではないか
と仮説を立て、「メンタルマップを用いたインタビュー」の効果を検証していく。最終的には、まちづくりにおける最初の段階の「まちを調べてコンセプトを決める」際の1つの方法として提案することを目的とした。そこで今回は私の地元である岐阜県大野町を対象にどのような効果が見られるか検証していった。

 結果として、愛着が高いほど
・道や交差点の数が多く、細かい建物やサードプレイスが描かれている
・「そういえばここでは~」や「今話したのはマップ上だとこの辺だね」のようなメンタルマップを通して出てきた/具体性の増した思い出が多い などといった傾向が見られた。
 また、対象者全員に共通していることして、
・メンタルマップを通した思い出は自宅周辺や交差点周辺に多い
・同一方面の二つの場を比べたとき、実距離とマップ上の距離に明らかな差がみられると、その範囲内の地域とは関わりが弱い などといった傾向が見られた。

 最後に手法の提案として、
①メンタルマップから、その人の関わりの強い/弱い地域の予想を立てる(追加の質問をしやすかったり、話を聞きやすかったりなど内容に集中できるため)
 ・交差点の密集地 ・同一方面の二つの場を比べたとき、実距離とマップ上の距離に明らかな差がみられるか といった要素から予想する。

②固定の質問と聞く要素
 ・5段階評価の愛着度(愛着度ごとの共通点、相違点を見つけるため)
 ・小/中学生時代の平日/休日の過ごし方(どのように地域との関わりができたか。また、どのような関わりをしていたかを知るため)
 ・高校生になってから地域との関わりの変化(高校入学時など、生活に大きな変化が起きたときに地域との関わりにどのような変化あったか。また、滞在時間や友人関係など変化した要素ごとの愛着度への影響を知るため)
 ・祭りやイベントにどれくたい参加していたか(その地域の特色{文化や物理滝環境}を探るため)

③追加の質問で注意する点
 ・メンタルマップから読み取れる地域の関わりの強弱にかかわる要素
 ・メンタルマップを通した思い出は「誰がいたか、具体的な場所、どんな状況だったか」の3つに着目する。

④「どのように地域との交流ができたか」➡「生活に大きな変化が起きたとき、地域との交流にどのような変化があったか」の流れで、愛着度ごとの共通点、相違点を見つける。

⑤発見した共通点・相違点から、地域資源・地域の魅力/地域の課題を見つけ、コンセプトの決定・具体案を考える

今回の研究では時間が足りなかったが、メンタルマップにはまだまだ分析できるところがあり、とても可能性を感じる。 卒業研究が終わっても、メンタルマップについては今後も関わっていきたい。そして、「自分なりの手法」をもって今後のまちづくりにも関わっていきたいと思う。