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絵画による家族の研究

廣田 わかな
学科・領域
美術・工芸学科
コース
美術表現コース
指導教員
遠藤 良太郎
卒業年度
2022年度

ポストは開けることができる


1、はじめに
絵画と家族について述べる。家族は食事とのかかわりについて。私の絵画についての考え、またそのことを踏まえた展示方法と画材について述べる。




2、家族
 私は家族の関わりにおいて食事に興味がある。料理を手伝ううちに自分で作るようになり、家族にとって重要な営みだと意識するようになった。そうしていくうちに、食事には、共に食事を摂ることによって使う言葉や思考が混ざり合い、経験と記憶が蓄積されていく様子が表れていると感じた。

 以前は家族とはなんたるかを描き出したいと意気込んでいたが、あまり上手く行かなかった。そのため、家族を見つめてみることにした。





3、絵画
 私は絵画は目で見るだけでいいと思う。(人が見ることによってつくられる)絵は、見たらならば何が描いてあるんだろうかと、読み解かなくてはいけないのではないか、という気持ちになる。しかしそのように急ぐ必要はなく、絵を見たという事実が重要だと考える。絵を目にしているとき、絵を構築するのは自身の中にあるイメージである。そして線や色、形などの補完が行われ、人に作用し、イメージが思い起こされる。そのため私はこの展示で、絵は置いておくだけで、見た人に委ねることにした。

絵は、見たというところから始まる。そのため私は、絵をイメージを構築、誘発する装置として置くことにした。そして、紙に描いてある絵の具のしみや鉛筆の線は、徴として何かしらの作用を持ち、絵を見ることによってイメージが立ち上がってくる。

 透明水彩という画材について中間発表では、透明水彩の特徴である粒子が混ざり合う性質と、人が共に過ごすことで混じっていくことをを重ねていることについて説明した。 後期の研究では、水彩は紙の地が透ける特徴がなおのこと、しみとしての印象を強くしていることがわかった。しみはあとであり、こすれた細胞のような人の表出である。