手拓

手を描かずに手の張りや動きを写す媒体を描くことで、普段当たり前すぎて無意識になっている動作を意識して、受け手に手の多様な動きや成せる力のイメージを喚起させる、あるいは探知しようという意識を強められないかと考えました。

この試みに、魚拓ならぬ、手の力を紙に写すという状況を指して「手拓（しゅたく）」と名付けました。

ポスターを各々の手と重ねて見たとき、手に関する身体的感覚と視覚的情報が統合することで、紙を手で触るときの、指の細やかな動かし方や、手のひらの力の圧加減を改めて認識して、多くの人が持っている手の動作という共感に美を感じてもらえるよう制作しました。