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硝子と共に素材と過ごす時をかき留める

村越日生子
学科・領域
美術・工芸学科
コース
クラフトデザインコース
指導教員
中村 和宏
卒業年度
2021年度

 私は以前から自然が生み出す少しずつ違った形を持つものに惹かれ、錆びた金属や植物の葉、魚の骨などの素材を集めていた。 それらを硝子と共に焼成する実験をしながら、表現を探ってきた。 自然の素材を集めながら無意識に過ごしていた時や、これまでの実験の過程を昇華したいと思い、作品を制作した。

 硝子はそれらの素材と共に焼成することで、硝子単体で焼成した時には見られない表情が生れることがある。 高温のため素材からガスが出て硝子に泡が閉じ込められたり、失透という硝子が曇ったりする現象などがあるからだ。 そういった特有の表情には、ひとつひとつ違う自然の素材に通ずる部分があると思う。

 石膏などで、型を制作せず、ささえとしては石を用いて、硝子が自然に沈みながら溶ける形になるよう設置して焼成を行った。

 新聞紙は、様々な種類の内容が書き込まれているものだと考えている。そういった点で、私が様々な硝子の実験から得た成果をかきとめてきた日々の記録と通ずる部分があると感じ、板硝子に新聞紙を挟み込んで焼成した。

 この研究テーマを設定した時は、硝子を複数の異素材と組み合わせたこれまでの制作や実験が、全てバラバラに感じていたためなんとかまとめたいと考えていた。振り返ってみると卒業制作をする中でさらに断片的なものは増え続けていた。作品は焼成して窯から出てきたときの一瞬が、それまでを昇華した作品になるのだと思った。作品はそういう連鎖の中にあると思うと、バラバラではなくて繋がっているところもあるように思える。一瞬をかき留めて、また次が始まるというように、私もひとつひとつ積み重ねて進んでいきたい。

サイズ:H260×D350×W350
技法:キルンワーク
粗材:板硝子、新聞紙、媒染液(銅・鉄)