外波の「道」観

現在私たちの周りに当たり前に存在する道。この道がもし存在しないとしたら、それはどんな状態だと思いますか?
対象地域は新潟県糸魚川市の外波です。この集落には大きな幹線道路や鉄道、新幹線の線路が横切っており、移動の目的やスピードを様々に持った空間が混在しています。
現在移動の手段は道に固定されていますが、本来はその場その時という一瞬のつながりによって生まれる、道とは違う豊かな移動空間が存在するのではないかと思います。
そこで、とどまる空間である家と移動空間である道を反転させます。空間の形と様相を反転させることで、集落の再構成をしようと考えました。
より良い環境を選び取る人の性質を利用して、「環境」の操作を行います。環境操作を通じて、形とその環境がいかなるものかを反転させることができると考えたからです。
1. 現地調査を行い、集落の住居で環境調査を一軒一軒行いました。例えばオレンジで示されている部分は屋内の快適な環境です。
2.次に8畳間と同じ一片3640のグリッドを当てはめ、重なる環境のバリエーションごとにモザイク化します。屋根材からも行います。
3.ここでポイント評価を行い、グリッドを仕切る境界線の材料と、内部環境を指定します。
4.最後に、これらに沿ってユニットを設計します。現地調査で得た道をなくした空間も分析することで、設計に取り入れます。
基本的には6本の柱とその間に設けられる様々な材質、厚みを持った壁により構成されます。⇧こちらのユニットでは、木造のパラペットを作ることで植栽による壁を作ります。
こうして道の存在しない空間を作る手法を用いた、集落の再構成が完了しました。
模型です。道が続きそうで続かない世界を、鏡と斜めに切断された断面模型を使い表現しました。ぜひご覧ください。
大学院でも引き続き研究を進めていきます。乞うご期待!