旅路

いつからか大きな生き物に心惹かれるようになった。それは本当にこの同じ地球上に存在するのかという恐ろしさと感動によるもので、簡単に目にすることができない存在だからこそ、憧れと畏怖の念を抱くのだと考える。
広大な海を旅するなかで彼らの身体には無数の傷跡が残っていく。そしてそれと制作の過程で残るひとつひとつの手仕事の跡がリンクし、それらはどちらもこれまでを確かに肯定してくれる軌跡のように感じられた。

今この瞬間も地球のどこかで旅を続けている彼らに想いを馳せながら制作に挑んだ。
鑑賞者には試行錯誤の末に表れた肌の色味や表情から、重ねてきた歩みとこれからも続いていくこのザトウクジラの旅を感じてもらいたい。

作品サイズ：H1830×D1470×W795mm
技法：絞り、溶接、鍛造、溶断
素材：銅、鉄