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北海道を中心とした円形校舎の現状比較

ー北海道と円形校舎の関連性ー
澤口 有紀
学科・領域
建築・環境デザイン学科
コース
環境計画・保存コース
指導教員
津村 泰範
卒業年度
2022年度
  1. 円形校舎は坂本鹿名夫によって提案され、戦後のベビーブームで教室不足となっていた昭和30〜40年代に流行しました。

円形校舎の形状・特色はこのようになっています。
経済的で教室を多く配置することができる円形校舎は全国各地に110校ほど建設されました。
その中でも北海道には14校の円形校舎がありました。

では、なぜ北海道に円形校舎が多く建てられたのでしょうか。

北海道の円形校舎のうち、坂本鹿名夫によって設計されたものは8校あります。
坂本鹿名夫以外の設計者が明らかになっているものもあり、その設計者は、北海道の宣教師の家に居候していたり、円形校舎を建てる地域の出身者であったりという北海道との関わりが見られます。

そこで、坂本鹿名夫が北海道の円形校舎の設計に至るまでの背景、北海道とどのように関わりを持ったのかを調査の中で見つけた手がかりから、次の3つの視点で調査を行い、考察しました。

  1. 坂本鹿名夫が親族から北海道に関わりを持った可能性
  2. 円形校舎より先に別の円形建築を北海道に設計している可能性
  3. 北海道初の円形校舎の設計に坂本鹿名夫が関わっている可能性

その結果、以下の考察に辿り着きました。

  1. 坂本鹿名夫の姉妹の配偶者が北海道に関わりのある家系の人物である
  2. 坂本鹿名夫は円形校舎より以前に北海道室蘭市に円形病棟を設計している
  3. 北海道初の円形校舎は大成建設設計であるが、大成建設に所属していた坂本鹿名夫は設計時にはすでに独立しており、直接関わっていると考えにくい
  4. 2,3より、坂本鹿名夫が北海道に初めて設計した円形建築が室蘭市の円形病棟である可能性が高く、北海道に関わりを持つまでの背景に関係している可能性がある

また、円形校舎周辺地域に関連性や共通点があるのかを調査しました。
その結果、地域間のつながりとして、炭鉱やその運搬に関わる地域(炭鉄港など)、漁業の環境整備や漁業協同組合の合併が行われた地域に円形校舎が建てられていることが多いことがわかりました。

北海道の円形校舎の現状・活用
北海道の円形校舎は現在、完全には解体されていないものは7校あります。
しかし、中には屋根が崩壊したもの、廃墟化して心霊スポットにされているもの、ほぼ使用されずに処分されそうになっているものもあります。それに対し、活用に踏み切ったもの、これから活用し発展させていこうとするものは3校あります。
その中で、室蘭市の絵鞆小学校の保存活動を行う市民団体の方に、活用を考えていく現状の課題とこれからの展望を伺いました。

全体の大まかな研究内容は最終発表の資料をご覧ください。
最終発表資料

より具体的な研究内容はパネルをご覧ください。
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