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かつてそこには、水が在りました。

石崎 心
学科・領域
視覚デザイン学科
コース
表現デザインコース
指導教員
松本 明彦
卒業年度
2022年度

新潟という地名にも入っている「潟」ですが、新潟には昔、沢山の潟が存在していました。

数で言うと新潟市だけでも、約200もの潟が存在していたとされています。
しかし、食糧増産のための新田開発や、潟は水害をもたらす原因でもあったため、次々に干拓が進んでゆきました。

そして、現在新潟市に残る潟はわずか16にまで減ってしまいました。

例えば、新潟市西蒲区にあった鎧潟は田んぼに姿を変え、西区にあった二枚目潟は住宅街に、東区にあった花月潟は空港の滑走路に姿を変えました。

このようにして、かつて新潟に存在していた多くの潟は水を抜かれて様々に姿を変え、それと共に人々の記憶から消えました。潟があったということを知らずに、潟があった場所で暮らしている人も少なくないと思います。

そこで私はこの卒業制作を通して、
「新潟には昔、沢山の潟があったという事実」
を少しでも多くに人に知ってもらいたいと思い、潟について研究し、作品を通して表現したいと考えました。

今回の制作では、戦後(1945年)以降に消えた新潟市内の潟を調査し、名前と場所が特定できた16の潟を作品にしました。

Dry landscape -姿を変えた潟-
この作品は、以前潟だった場所の現在の様子を撮影した写真作品です。 現在は田んぼや住宅地など様々に姿を変えていますが、以前これらの場所はすべて水に浸かっていました。

<展示風景>

In the water -眠る潟を呼び覚まして-
この作品では、昔潟があった場所の写真をアクリル水槽に貼り、そこに水と土を入れることで擬似的に潟が存在していたことを見た人に想像してもらうという作品です。ちょうど地平線に水面が来るようにすることで、その場所が水に浸かっていたことを表現しています。 <展示風景>