全体論的感覚「いま、ここ」をめぐって
発泡ガラスによる制作《Circle series》
学科・領域
修士課程 美術・工芸領域
指導教員
中村 和宏
卒業年度
2023年度
ときに人は、特定の感覚(視覚、聴覚、超感覚的知覚など)に基づかない感受性によって、
目の前の見えているモノを飛び越えて、見えないが感じられる次元と「同期(synchronization)」する。
同期される次元は多層的なレイヤーを持つ。私はその深層なるものを「いま、ここ」と名づけている。
過去も未来も現在世に内包されている 「いま」
すべてがここで、ここ以外がない 「ここ」
これはある種の現実感覚でもあり、「いま、ここ」と同期するとき、
見慣れているはずのものが、眩しく、新鮮なものとして目に映り、
現実が明晰さを帯びるように感じられる。
生きていることへの実感かもしれない。
しかしこの感覚自体は、いまだ何とも言語化しがたい。
それはきっと「いま、ここ」という感覚が、
生きることや感じることにまつわる、普遍的で根源的なものだからだろう。
それは何にも還元されることのないまま、ただ、在る。
その地平を眺めることはいかにして可能だろうか。