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Assemblage ─DINO─

ファッションとアートの共存 サスティナブルファッションの新たな見せ方 ─シン・エス・アート─
窪田 泰一
学科・領域
プロダクトデザイン学科
コース
テキスタイル・ファッションデザインコース
指導教員
金石 浩一
卒業年度
2022年度

展示画像

ファッションとアートの二つの側面からサスティナブルを考えた作品。

題材の選出

 VISIONARIES(著スザンナフランケル)という本がきっかけとなりファッションとアートを題材としようと思った。その本はアレキサンダー・マックイーンをはじめ川久保玲、ヴィヴィアンウエストウッドなどにインタビュー形式で各デザイナーのファッションについての考えが述べている本である。その中で、「ファッション」「アート」の言葉は頻繫に登場した。ふたつのものをイコールとして考える者もいれば、違うものとしてとらえる者もいた。人の解釈はそれぞれであることを前提として、私はファッションとアートには相互的に影響しあっているように考える。卒研ではふたつがうまく共存し、どちらの側面でも成立した作品を作りたいと思った。

「アート」の側面

 春休みに、たまたまNHKのニュースで"服の墓場"と題のついたニュースを見た。リユースする名目で、海外に送られた服が貧国、発展途上国に最終的には送られ、廃棄されており、現地の人や環境に多大な悪影響をもたらしているという内容だった。山積みにされた服の光景は死んだように思えた。ファッションを学び、就職先もアパレル業に決まっていた私にはとてもショッキングなものであり、作ることに対する責任を持たなければならないと強く感じた。
 このことを題材としてアート作品を作ろうと思った。しかし、この題材はとても難しく、重たいものであるとも思えた。アートは小さい時から私にとって楽しくワクワクさせてくれるものであり、見る人が重たく暗い気持ちにならない作品にすべきと考えた。
ワクワクするものを根底に据え、表現方法を模索した結果、ポップアートに辿り着いた。ポップアートの楽しげで陽気な作品の中にある風刺的なメッセージは私にとってはウィットに富んだものであり表現手段としてはぴったりに感じた。
 風刺するものは上記の古着の末路。服を作るうえで着るうえで今一度、考え直してほしいというメッセージ。服が堆積し、その場にとどまり続ける様は、恐竜の化石のように思え、ティラノサウルスとして現代によみがえるストーリーを思いついた。古着は恐竜の肉、皮膚となる。ティラノサウルスは暴れる王、怒るトカゲであり、この作品は服の将来も考えずに生産され、流行りを過ぎて捨てられてしまった服たちの怒りからできたものである。その考え、願い、コンセプトを「シン・エス・アート」と称する。

「ファッション」の側面

 恐竜の皮膚の形を"服っぽく"纏わせることは、ごまかしのように感じた。恐竜の皮膚の一部として成立し、人が着用する際はしっかりと人に合ったシルエットにしようと思った。恐竜の皮膚として、服としてうまく置き換えることのできるパターン、シルエットにすることを絶対条件として制作した。また、コンセプトがREVIVEであることから古着を張り合わせたツギハギのようにせず、高いデザイン性を持った新たなプロダクトとなるように制作を進めた。
 そして、デザインするうえでREVIVEをもとに1、なぜ恐竜なのかを考えてみてほしい。 2、新たな素敵な服として生まれ変わってほしい(シンデレラやセーラームーンが変身するイメージ)3、これからも服が生き残ってほしい の3つの願いをもとにデザインを考え、シルエットや生地(古着を解体し組み合わせたもの)を選ぶようにした。