MENU
2024.02.09

2023年度卒業・修了研究優秀賞が決定しました

本日より卒業・修了研究展を開催します。
多くの皆さまのご来場をお待ちしております。 #長岡造形大学卒展

2023年度の卒業・修了研究の優秀賞が決定しましたので公開します。

【プロダクトデザイン学科】
  青木 唯 (菊池研究室)
  石原 良倫 (川和研究室)
  木下 凜々 (金澤研究室)
  宮島 春香 (土田研究室)

【視覚デザイン学科】
  木船 由梨奈 (山田研究室)
  四條 沙彩 (徳久研究室)
  矢嶋 美優 (阿部研究室)
  上原 愛那 (池田研究室)
  内海 裕菜 (山田研究室)
  小沢 八重 (ビューラ研究室)
  西條 百香 (天野研究室)
  白井 一都 (山田研究室)
  鈴木 結葉 (御法川研究室)
  中澤 由梨 (ビューラ研究室)
  伴藤 優々 (ビューラ研究室)
  栗澤 優凜 (池田研究室)

【美術・工芸学科】
  國重 美紀 藪内研究室)
  矢川 実侑 小林研究室)

【建築・環境デザイン学科】
  北川 琳香 津村研究室)
  後藤 萌華 柏原研究室)
  髙山 詩音 山下研究室)
  原 陸 与那嶺研究室)
  別所 哉空 佐藤研究室)

【大学院造形研究科 修士課程】
  佐々木 茉歩 (板垣研究室)
  鑓水 栞菜 (佐藤研究室) *2023年9月修了
 


各学科・研究科の優秀賞の紹介

【プロダクトデザイン学科】

受賞者 研究テーマ 選考理由
青木 唯 虫をモチーフにした織り表現の研究
【昆虫織物標本】
虫からイメージする様々な要素を「織物」で創作する事に正面から取り組み、素材や仕上げ加工などの知識を総動員し、制作する技量もともなって豊かな作品に纏めた。特に「織物組織」と言われる織物構造を理解して考え抜き、独自のデザインが出来た事を評価する。使用シーンを想像する楽しみも含めて、今後の展開の可能性を感じるとても良い研究である。(菊池)
石原 良倫 都市農村交流を気軽にするモビリティの研究
【AgriBOX】
“人々の交流を生み出すモビリティー”というコンセプトに添った、見て楽しくわかりやすい展示が実現できており、テーマの世界観表現に対する制作への熱意と努力が感じられる提案となっている。特に人々の交流シーンを表すジオラマと、モビリティー単体の機能を説明するスケールモデルが緻密に丁寧に作り込まれ、具現化されている。以上の点が評価され、優秀賞となった。(川和)
木下 凜々 材料の無駄を削減した工法の研究 ~曲面と木目を魅せる~
【つみはぎ】
木材切削の刃物厚と傾斜角度、間隔を設計段階で考慮することにより、連続した積層部材に加工することができる。製造過程における、材料の効率的な利用(歩留り)を考えることは、コストや環境負荷の面からもとても重要である。それを最大限実現しながら、木目が連続して綺麗にマッチングする、新しい意匠性を与えているところが評価されたポイントである。また、スタディモデルを繰り返し制作して知見を蓄積した背景も評価された。(金澤)
宮島 春香 公共空間において新しい休息時間を提供するプロダクト
【owll.】
駅の広場や建物のロビー空間で待ち合わせをする時、壁に寄りかかっている人を良く見かける。この状況からベンチほど場所をとらずに、垂直の壁にもたれるより遥かに快適な新しい家具の提案に結び付けたこと、そして同時に、空間を彩る視覚的なアクセントとなる点も高く評価された。
壁に直接寄りかかるのと、この家具を使った状態を実際に比較してもらえれば受賞は納得していただけると思う。(土田)

 



【視覚デザイン学科】

受賞者 研究テーマ 選考理由
木船 由梨奈  食育を教えるための映像表現についての研究
【ABOUT MOGMOG】
農林水産省のHPにおける食育コンテンツの野ざらしにされたPDFの山を前に、幼い子供たちにどう噛み砕いて伝え、12の啓発テーマを伝えるかに取り組んだ作品である。木船は、情報をリデザインし・映像コンテンツ化・高い学習効果・飽きさせない・反復で見たくなる など求められる諸要素をバランス良く高いレベルで実現させている。学びを電子化するe-ラーニングという学習システムの潮流は「わかりにくいものをわかりやすく」と「つまらないものを面白く」という課題を情報のデザインにより実現することが求められるが、作者の想いがこもった質の高い映像作品群からは、極限までシンプルにかつ短くするという試みを成功させ機能的な作品となった様子が眩しく窺える。(山田)
四條 沙彩 子どもの知的好奇心を育むデザインの研究
【ながおか てしごと ものがたり】
この卒業研究は「仕掛け絵本」という作品ではなく、「子どもの知的好奇心を育むデザインの研究」である。仕掛け絵本という結果までの思考、疑問・調査・取材を繰り返すこと、制作し検証するという一つ一つの過程、そしてそれを伝えることができたことが高く評価された。最終的に好奇心を刺激する仕掛けの効果だけでなく、「てしごと」を伝えることを手触りのある絵本を通して職人の体験に落とし込めたこと。丁寧な仕事で仕上げることができた。(徳久)
矢嶋 美優 背広を活かした現代のスタイリング
【背広】
祖⽗の遺品の背広13着を使⽤したファッションポートレートとスタイリングを研究し、背広をリバイバルファッションとして撮影を行った。背広、ファッションポートレート、撮影前のラフ作成、レンズ選びライティング、構図などに工夫が見られる。撮影を行うためのシューティング見本を各モデルに作成、事前打ち合わせなども行なっている。写真集としても作品をまとめ見応えのあるものが完成した。研究へのこだわり、情熱なども評価された。(阿部)
上原 愛那  消えない怒りやモヤモヤを破壊するクッキーの提案
【Break it!】
誰しも少なからずイライラする時がある。家族や友人との人間関係に問題が生じた時、健康や経済的な問題によって生活に不安を感じた時など、こころの隙間から訪れる。生活が豊かになりすぎた故に抱えてしまう大きな問題である。上原はアイシングクッキーという商品開発で問題解決をした。お菓子を割り、気分爽快になってそれを食べるという単純明快なしくみだ。様々なシーンに合わせてモチーフを厳選し、制作したイラストに合わせてアイシングクッキーを焼き上げた。まさにスクラップアンドビルドである。(池田)
内海 裕菜  写真としての生成画像に与えられる時間と存在について
【WHO OWNS THE MISTRANSLATION?】
ポストコロナを経て現代はまさに両極化の時代である。<対面+リモート>・<リアル+バーチャル>・<8K+スマホ> など相反する事象や価値観が増大し拡張してゆく時勢はネガティブな要素に見えるが、むしろ構造変革のチャンスであるといえる。内海による未だ見ぬ「場」への移動手段としての画像処理ソフトにおける生成AIシステムの活用、目の前の世界を拡張させ仮想現実での撮影を通し現実世界に持ち帰る探求行為は、「写真の定義を拡張」し、写真がテクノロジーと成長してきた現実を再認識させながらも、「写真と人は今後どうつながってゆくのか」を鑑賞者に強く問いかける素晴らしく興味深いモノとなった。(山田)
小沢 八重  異なるふたつの表現を一つの作品に落とし込み、アニメーションにおける新たな演出を探る研究
【雨のちおとしもの】
研究に沿って異なるふたつの表現を完成度高い作品に落とし込んでいる。ロケからキャラデザインや音楽まで丁寧なリサーチをもとにした狙いどおりの表現が出来、高評価の作品になった。これからのアニメーター活動に期待している。(ビューラ)
西條百香 フィクションと現実を結びつける書籍形態と展示のデザイン研究
【この惑星に生まれた新たな君へ/惑星〈アオ〉におけるヒウビ人の能力に関する調査書】
社会問題を個人の問題として捉え、フィクションと結びつけて双方を行き来するための「思考の装置」としての書籍とインスタレーションの制作。過去に類似した研究が無く、その独自性が、高い評価を得られた理由のひとつと言える。また小説は読了後にその評価が下されるものではあるが、本研究は限られた条件の中でも研究プロセスと「モノ」としての書籍、つまり存在自体に強いメッセージを持っていることが優秀賞に選ばれた理由であると考えられる。(天野)
白井 一都  汚染された広告と加害性
【IMAWANOKIWA!】
制約のある環境とスケジュールの中で入念な企画とテストを繰り返しによる撮影や編集工程における緻密な構想とアウトプットに向けたブラッシュアップに至るまでの白井の成果は優秀に値する。映画のクオリティだけでなく、制作企画において作者が現代社会における問題意識を短編映画として風刺的に昇華させ、この映像作品が昨今の広告業界・広告システム・広告環境へ向けたカウンターとしての問題提起CM(コマーシャルメッセージ)となっている点を高く評価したい。(山田)
鈴木 結葉  非現実的な世界観の写真とそれを展示する空間の表現の研究
【Shangri-La】
やや暗い背景にモデルとともに、真っ赤な衣装や着ぐるみ、カラフルな傘、山羊、炎などが浮かび上がる。舞台は、森の中、廃墟、遊園地、神社、スクランブル交差点などである。これらが組み合わさり、非日常感を醸す。モチーフ自体には一見明るさを感じさせるが、写真からは奇妙さやほのかな恐怖が浮かび上がる。これが鈴木の捉えたかった世界だ。29名のモデル、小道具、衣装、ロケーション、これらを手配し段取りを組み、自分の世界を写真に定着させるエネルギーも素晴らしい。(御法川)
中澤 由梨  ストップモーションアニメーション作品の特徴を活かした3DCG表現の研究
【つきよのなかで】
ファンタスティックな子供向けのストーリーの6分アニメーション。ストップモーション表現とその特徴の細かい研究を元にして柔らかいキャラクターに相応しい世界観を3Dソフトで表現できたことが評価された。これからの大学院での研究も非常に期待している。(ビューラ)
伴藤 優々  温かみのあるアニメーション表現の研究
【きっとね、】
キャラクターデザインと線や色などの表現方法で温かみがある6分という比較的尺の長いアニメーションを制作できた。優しい表現のほか、テンポの良いストーリーテリングで非常に高い評価の結果となった。これからのアニメーター活動に期待している。(ビューラ)
栗澤 優凜  白樺樹液の魅力を広め、ストレスの軽減を助けるカフェの
【Bjorka】
時間に追われ、日々多忙な毎日をすごしている現代人にとって大都市で生活することでストレスを溜めてしまう事がある。不快なストレスは、蓄積され自律神経が乱れたり病の原因にも繋がってくる。栗澤は地元の隠れた名産品である白樺樹液を使って、現代人の「こころの健康」を維持しようとカフェのコンセプトを掲げた。実際にカフェをオープンさせ実装し研究。その後、実際に働く女性をモデルにしてプロモーション用の撮影を行いパーソナルカフェの世界観を創作した。プロ顔負けの仕事量と研究に脱帽である。(池田)

 




【美術・工芸学科】

受賞者 研究テーマ 選考理由
國重 美紀 風景の中にある心の解放感の金属表現研究
【空の下、この大地の上で】
風景を見た時の心の解放感という形のないものを金属素材と鍛金技法を用いて表現しようとした結果、金属板という物質を感じさせないマチエールの追求や小口の在り方、ものの存在のさせ方を実験的に模索した研究成果として評価した。本作品は3つの作品から構成されており鍛金の特徴でもある板状の平面から立体へと造形を展開している。それぞれの金属表面の表層を作り込むことによって、風景の広がりや輝き、揺らぎという表象に辿り着こうとしたものである。研究では試行錯誤、紆余曲折、多岐にわたる視点での考察を行い、1年間の研究成果を作品として昇華したものである。(藪内)
矢川 実侑 祈りや願いの形 彫刻表現による動物たちの極楽浄土の制作
【再逢一処】
矢川実侑さんは入学当初から神社仏閣への関心があり、早くから卒業研究で制作する作品イメージがあると語っていたのを思い出す。社寺彫刻における造形哲学と技術、歴史を研究し、倣いを基本とした作品制作でも卒業研究としてかなりのボリュームになるが、この作品では、今の矢川さんの等身大の視点で選び抜いた素材と手法によって独自の世界観を展開している。寄木づくりへの挑戦と水干絵の具による着彩など、旧来の彫刻の技術を大切にしつつ、雲の表現には繊維素材を用いて柔らかな表情を与えている。大らかだが、すみずみまで手間をかけて育んだかたちと丁寧に仕立てられた展示空間をじっくりと堪能してほしい作品だ。(小林)

 



【建築・環境デザイン学科】

受賞者 研究テーマ 選考理由
北川 琳香 越後艶ビル研究 -婀娜っぽいビルをアーカイブする- 地方都市の中心市街地の景観の基盤となっている戦後高度経済成長期の1960-70年代に建てられた独特な風貌の中層商業ビル群。それらは戦後モダニズム建築とは言え、そうは言いきれないちょいダサだけど愛らしい魅力を感じた北川琳香は、その”婀娜っぽい”魅力を共有すべく、特徴を調べ、「艶ビル」と名付け、分析し、表現した。これからも継承したい都市風景の要素として、艶ビル愛の溢れる研究が質量ともにスバラシイ。(津村)
後藤 萌華 海と人の繋がり ー傷ついた土地と人々の現状の再考ー 物理的に津波を防ぐのではなく、テスラバルブの流体の動きを地形へ活用し、8mの防潮堤を撤去することで、集落に水平線への眺望を取り戻し、テスラバルブを活用し創出した地形を活かし、高齢者の健康を中心に人々の交流できる場を提案している。
防潮機能と生活の場が同一の土地で行えるランドスケープデザインは、新規性があり優秀賞に値する。(柏原)
髙山 詩音 城下空間に水は巡る_松本城の外堀復元事業の延長に、インバウンド需要を見据えた日本文化堪能空間の構想 高山シオンは「センスのかたまり」。

建築が、空間が、画面が、美しい×美しい×美しい。

隅から隅まで、デザインをし尽くしたあげくに、パネルメイキングも、ムービーメイキングも、プレゼンのナレーションも、細部にまで、緻密で美しい。

うっとり見惚れてしまう。

就職先のベンジャミン・ウォーナー氏(世界を知るイギリス人)は、シオンがトップになったことを、さぞかし喜ぶに違いない。

彼女の才能を心待ちにしているわけだから。(山下)
原 陸 あなたが”いえ”に立ち現れたなら ーDNAとしての建築,建築としてのDNAー 小商い建築から生まれた原家のDNAをどう将来に受け継ぐか。建築の要素を地道な調査でDNAとして抽出し、また近年の住宅の建築操作を様々な資料から言語化して別のDNAとして掛け合わせ、原君の意思も加えた新たな設計手法を生み出した。
様々なスタディ、木造の壁量計算、実現可能な図面、仕上げや空間まで感じられる模型など、展示やプレゼンも秀逸であった。今後、様々な用途への発展も期待できる作品であり、よって優秀賞に値する。(与那嶺)
別所 哉空 建築の終焉が継ぐ ー環境修復システムに呼応する地力再生ー 廃鉱山が残したものはふたつ。植物に侵食される廃墟建築と、重金属による土壌汚染。ここに重金属を蓄積する植物による環境浄化システムを適用し、時間をかけて自然環境を復元する。用意される建築は浄化完了、すなわち役目を終えると朽ちていき、廃墟となる。復元された自然のなかで廃鉱山の廃墟と浄化プロジェクトの廃墟が並び、それは記憶として在り続ける。人の営為と自然、そして時間と建築の関係を問う優れた作品である。(佐藤)

 




【大学院造形研究科 修士課程】

受賞者 研究テーマ 選考理由
佐々木 茉歩 インフォーマルコミュニケーションを主軸とした小規模な対話の場の効果の検証
―新潟県長岡市で実施した小規模な対話の場に参加した参加者の口述情報の分析から
当該研究は、昨今において地域づくりやコミュニティ形成において注目を集めている「対話の場」を自ら企画・実施し、2022年8月から2023年10月までに全34回開催、のべ148名の参加者の口述情報の特徴に基づき、場づくりにおける所属感の形成要因となることを示唆している。このような実践的な研究は、社会的に意義があるとともに学術的にも価値ある内容であることから優秀賞に相応しいと判断された。(板垣)
鑓水 栞菜
(2023年9月修了)
小径間伐材を用いたテンセグリティ構造の研究
~小径間伐材の需要を促す仮設建築物の提案~
特筆すべき点の第一は研究を実作として実現したこと。保育間伐の小経材利用に着目し、テンセグリティ構造を適用、そしてそれを人力のみによる架構として実現するという、コンセプトから実作への研究行動力。学部卒業研究に端を発し、ドイツ・トリアー応用科学大学での研究を経た本成果は、ただ構造力学的な解を得たのみではない。鼎型ポインテッド・アーチと膜の組み合わせは造形大修士研究にふさわしいデザイン性も獲得している。(佐藤)

 

  1. ホーム >
  2. ニュース >
  3. 2023年度卒業・修了研究優秀賞が決定しました